今後はとりあえず、あと10年ちょっとはこの道でいけると思います。鉄道弘済会の定年は63歳ですが、その後はアルバイトでしばらくここで働けると思うんですけどね。
独立は考えてないですね。独立するにはいろんな設備や機材が必要ですからたいへんなんですよ。義足を作る機材のほかに、義足を履いて歩けるスペースとかリハビリテーションの設備とかがセットになってないとダメですからね。ただ義足を作るだけじゃなくて、その後のケアもできなければ僕としては意味がないですから。
この仕事は「これでいい」ということがないんですよね。義足を作って終わりじゃなくて、合う義足を作るためにはその後のリハビリもみないといけない。義足も使っているうちにへたってくるし、足の切断面の形状も変わってくるから、それに合わせて何度でも作り直さなきゃならない。
さらにこれからも足を切断する人は永遠に出てくるし、技術の進歩もあるから、この仕事を極めるなんてこともありえない。
だからこの先もこれまでと同じですよ。患者さんの要望に応えていこうとすると、自然に勉強をしていかなきゃならないし、世の中に目を向けなきゃならない。もうこれでいいんだ、なんて言っていられないですね。去年、一番いいと思って作った義足だって、もっとこうやったらいいんじゃないかっていうのが出てくるんですよ。まだまだ本当の足に近づいてないわけです。
だからこの仕事に永遠に終わりはない。でも裏を返せば永遠に夢があるということですけどね。患者さんにとっても作る側にとってもね。お互い向き合ってさえいれば、永遠に夢は消えないわけだから、現場で四苦八苦してるのが幸せなのかもしれないですね。
会社を辞めるときがあるとすれば、出世したときですかね。偉くなって現場で義足を作れなくなったら辞めちゃうかもしれないです(笑)。 |