入社して5年目に大腿義足の製作もできるようになりました。やっぱり膝下よりも足1本分の義足を作る方が難易度は高いわけです。それは技術的にももちろんそうですが、医学的な知識もより必要になってきます。
僕の場合は学校へ行っていないからあまり知らないんですよ。ところがちょうど運良く、僕が入社して5年後に厚生労働省が「義肢装具士」という国家資格を作ると発表したんです。受験資格は職業訓練校や専門学校で義肢科の講座を修了した人、それ以外に5年以上の実務経験をもつ人となっていたので、タイミング的にちょうどよかったんですよ。
それで入社して3年目くらいからその国家試験にあわせてみんなで勉強を始めたんです。社内の勉強会で医者を呼んで、医学とか生理学を教えてもらったりしてね。国家資格を受けるために勉強したのがちょうど実務にも役立ったからほんとラッキーでした。足を切断するといっても交通事故のほかにいろんな病気の人がいますから、医学的な知識は必要不可欠なんですよ。
勉強の甲斐あって試験には一発で合格しましたが、だからといって一人前の義肢装具士になれたとは全然思いませんでした。資格はあくまでも資格でしかないですからね。今でも自分が一人前だなんて思ってないですよ。ある程度、いろんな人に合う義足が作れると思えるようになったのは、10年ちょっと経ってくらいからかな。 |