そもそもこの世界に入ろうと思った動機は非常に不純なものでした。「芸能界に入って有名になりたい」──そう思って18歳のときに広島から上京、住み込みでアルバイトをしながら、役者修行を始めました。劇団には、芸能雑誌に載っている「劇団員募集」の広告を見て応募。実は私自身が、今ウチの事務所に来るタレント志望の女の子と全く同じスタートだったんです。
若い頃から高い志よりハッキリとした目的と行動の方を重視していました。役者になって「演じることで人びとに何かを伝えたい」とかじゃなくて、「テレビに出て売れて有名になる」。それが目的。そのための行動が上京、劇団員応募、住み込みで仕事、だったわけです。
最初は埼玉の鋳物工場に住み込みで働いていたのですが、都心に近づくと楽しいものが増えるじゃないですか。それで、鋳物工場を辞めて新宿のモダンジャズ喫茶でアルバイトを始めました(1960年代後半から1970年代前半)。これがとても私の性に合ってたんです。思い返してみれば、子供の頃から音楽は大好きだったし、成績もよかったからね。だから仕事としても楽しかった。
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