航海中はだいたい朝5時半過ぎに起きます。5時50分前後に、朝一番の天気予報があるので必ず見る。それを元にどうやって船を走らせるのが一番いいか決めるんです。基本的には航海が始まる前にすべてスケジュールを組むんですが、やっぱり刻一刻と天気が変わりますからね、風が変わったり波の向きが変わったりすると、微調整をしなくてはなりません。それから、その日の打ち合わせをスタッフとします。
だいたいいつも朝8時ころに船内放送でお客様に向けて天候とかコンディションのお話をして、それから機関部、ホテル部、無線部、医務部などのすべての部署の責任者を集めて8時過ぎからミーティングを行います。
昼間は事務仕事、ペーパーワークが多いですね。具体的には人事管理の仕事や、下から上がってくるいろんなレポート、考課表やお客様のアンケートなどに目を通します。また、次の航海、1年先の航海、これからやろうとする航海の企画立案、それからそのチェックですね。こういう企画を立てましたとか、船としてどこか調整するところがないかとか、そういうのをチェックしたりします。
また、航海中はいろんな危険が待ち受けています。沿岸を走っているときや、外国に行ったりすると、海上保安庁や其々の国の沿岸警備隊など、いろんなところからいろんな情報が来るわけです。そんな情報を整理したりしなくてはなりません。
あとは時々、スタッフと個別面談というかミーティングが随時ありますし、レストランに行って、食事のコンディションとかスタンバイとかをチェックしたりもします。
夕方から夜には、パブリックスペースに顔を出してお客様と交流する時間をもつようにしています。例えばダンスパーティに出てお客様と踊ったり、いろんなイベントに参加したり。数が多いので全部は出られないですが、お客様といろいろ話をすることも重要な仕事のひとつですからね。
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ダンスパーティで乗客と踊る由良船長。船長になりたてのころはうまく踊れず、お客様の足やドレスを踏んづけてしまったという。その後の猛特訓で今やベテランの社交ダンサーを相手に華麗なステップを踏めるようにまで上達した |
夜の後半は、いろんなイベント、ショーを見に行って、そのショーが良かったかどうかチェックする。客席の後ろの方からお客様の反応を見ながら改善点を洗い出したり。すべてはショーをよくしていくためですね。チェックが終わると夜はいつもダンスタイムやってますから、できるだけダンスのお相手して、終わるのが12時前くらい。そして必ず寝る前にもこのあとの天気情報を確認します。
このようにとにかく船長はあらゆる部署にちょっとずつ関わっています。大事なところは少しずつチェック入れていかなければならない。そして全体の舵取りを決める。船長は普通の会社で言えば、200名のスタッフを抱える社長みたいなものですね。
こういう感じで年間の3分の2くらいは船に乗っています。そのほかは休暇ですね。休暇の日数的には、普通のサラリーマンと同じくらいだと思います。ただ、違うところは休暇をまとめてくれる点。例えば3カ月船に乗って1カ月休みとか。だから休暇中は長期の旅行とか普通のサラリーマンができないことができますよね。ただもう家庭を持って子どもができるとなかなかそういうこともできませんけどね。
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