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キャリレボ
自分のキャリアで迷ったり、煮詰まったり、悩んだりと壁にぶつかっているなと感じたときは、もしかしたら自分の判断基準や価値観を、一度、疑ってみることが必要かもしれない。壁を乗り越えるとは、それまでの自分を乗り越えるということだから。日々の小さな自分レボリューションで明日をつくろう

自然に努力し、成長できる自分に合う場の見つけ方、作り方

自分に合う場に出会うための基本のポイント——それは「何がやりたいのか」の軸をしっかり言葉にし、自覚することだ。まずは、過去の自分の行動を掘り起こして「もうちょっとこれ、続けてやってみたかったな」とか「たまたまやらされた仕事だけど、自然にのめり込んでいたな」と思える事柄を探していこう。

「世間の価値観を『これが自分のやりたいこと』と思い込んでいるケースが、実はとても多いんです。そのため、自分の過去の行動をまずはしっかりと掘り起してください。そして過去の行動という事実の中から、『これをやっているときは、充実していた』と思える行動を見つけていくことを徹底してください。どんなことをやって、そのときどう感じたのかに基いて考えていくことが、世間の価値観という色眼鏡を外し、『本質的に面白がってできること』を発見するためには必要なのです」と組織・人材コンサルタントのキャメル・ヤマモト氏はアドバイスする。

例えば、キャメルさんのやりたいことは「人と1対1(もしくは少人数)で会って、突っ込んで話す。それらを自分の中でまとめあげ、文章にする」こと。これらをしているときは、面白がれるのだという。「外交官として現地の人たちから情報を得て報告書を書く、コンサルタントとして人に会ってインタビューしてレポートにまとめる。その一連の流れの中で、自分も含めた複数の人の考えや情報が"融合"し、新しい"形=アイデア=文章、チャートなど"ができていくのを体感することが面白い。外交官、コンサルタントと職種は違えど、本質的に同じような部分を面白いと感じているわけです」。このくらいまで行動を細かく分解し、やりたいこと、面白がってできることを探すのがコツだ。

さらに、周りの人とうまくいっていたときのことも、思い出してみる。ここでも過去の自分の行動を掘り起こして「あの時は、うまくいっていた」を探していく。加えて、その時自分がどんな働きかけをしたのかを思い出す。「仕事で煮詰まっているときに、ご飯食べに行きませんかと誘って、話をした」「よく雑談をして、相手のこだわりポイントや仕事の考え方を知った」など、自分から働きかけたことを洗い出す。実はこれ、いい関係づくりの「自分ならではの法則」でもある。

過去の行動に基いて、やりたいことと、人とうまくやっていく法則を洗い出したら、あとは「それを使って、やりたいことをやれる場」を探せばいいわけだ。

不満の視点で、転職先を考えるのはNG

「転職したいなあ」と思うのは、現状に不満や物足りなさがあるからだ。そのため、自分に合った場探しをするとき、「今の職場のここが不満だから、そうじゃないところ」という視点で、会社選びをしてしまいやすい。

「でもその発想では、あれが嫌、これが嫌と粗探しばかりする会社評論家にしか、なれません。しかも、粗探し発想をしていると、どこにいっても結局は満足できず、会社を転々とすることになりかねません。まずは『こういうことがやりたい』を、しっかりと自分の言葉で表現してみてください。そのうえで、会社探しをするときは、いいところを見つける。この会社は、どういう製品・サービスを出していて、どういう人がお客さんなのかを見る。できれば『この会社は、こういう発想の元に、これを生み出すために存在しているんだ』といったその会社の核を物語るようなところをしっかりと見る。そして、自分のやりたいことが、その会社の中で、その会社を使ってできるかどうかを考えるわけです」。

「会社を、やりたいことのために使う」との発想が
"場"を自分に合ったものに変えるカギ


実は、場と場所は別物だ。場所は変えられなくても、場は自分の働きかけ次第で、変えることができる。「面白がれることをやるために、会社という場を使うんだ」と、まずは思うこと。「何のためにこの会社にいるのか」という目的を自分自身ではっきりと認識できれば、多少の不満ともうまく付き合えるようになる。

「私は33歳のとき、『ここは自分には合わない場だ』と思って外務省を辞めました。でも、当時は自分のやりたいこと、やっていて生き生きできることが何なのか、わかっていなかった。『人と1対1で会って、突っ込んだ話をして、文章にすることが、自分にとって自然と力のわいてくること』とわかっている今の自分なら、外務省という場をもっとうまく使って、やりたいことができる自信がありますよ」

人が集まり活動するのが会社という場。どこにいったって嫌だと感じることはある。100%自分に合うなんてことは、ありえない。「やりたいことにはこだわるけれど、あとはできるだけ柔軟に合わせよう」との姿勢も大切なのだ。

さらに、会社という枠組みを超えて、場を設定していくこともできる。あなたが、自然と力がわいてくるようなやりたいことができる会社にいるとしよう。でも、会社の中に「合うな」とか「刺激になるな」と思う人が見つからなかったら——。そのときは、取引先、自分の立場を利用して会える社外の人……と、「会社を使う」発想で、外に目を向けて自分に合う人を見つけていけばいいわけだ。

今まさに、「自分と合わない場」にいる経験を積んでいる人もいるかもしれない。しかし、合わない場に身を置き、そこに踏みとどまりつつも頑張る中で、自分を場に合わせたり、場を自分に合わせるたりといった経験が積める。それは必ず、別の場でも役に立つ。そうした工夫、努力をしたうえで、自分の気持ちを振り返ったとき、「やっぱり合わない」と感じるなら、自分に合う場を探しに行こう。「自然に力がわいてくるようなやりたいこと」という軸をしっかり持てば、きっと次はうまくいく。


キャメル・ヤマモト氏
人材・組織コンサルタント。大学卒業後、外務省入省。エジプト、イギリス、サウジアラビアの各国に勤務した経験を持つ。その後外資系人事コンサルティング会社にキャリアチェンジ転職。現在、ワトソンワイアットにて、シリコンバレー、東京、上海で主に人材・組織改革の面から多くの企業のコンサルティングを行う。著書に『稼ぐ人・安い人・余る人』『「クビ!」になる人の共通点』などがある。
  『「体感知」の技法』(キャメル・ヤマモト著/海竜社)
人生の一番の喜びは、「できた」とき、「わかった」とき。大切なことは「面白いこと」という著者が、「絶対的な受け身になって、体感を研ぎ澄ますこと」で、いろんなことがうまくいくコツをまとめた上げた。「体感知を使うと、努力するのが楽しくなる最良の場が見つかる」など、自分に合う場の見つけ方も詳しく伝授している。
キャメル・ヤマモトの体感知
自分の状態を判断する指標になる転職マインドテストあり

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次回は8月8日配信予定
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取材・文/中村 陽子(編集部)
デザイン/東 聖子(編集部)

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