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自分のキャリアで迷ったり、煮詰まったり、悩んだりと壁にぶつかっているなと感じたときは、もしかしたら自分の判断基準や価値観を、一度、疑ってみることが必要かもしれない。壁を乗り越えるとは、それまでの自分を乗り越えるということだから。日々の小さな自分レボリューションで明日をつくろう

「やるだけのことはやり遂げた」と思えた転職活動が、私を変えた
 学生時代に思い通りの就職活動をして、思い通りの会社に就職できた人なんて、どのくらいいるだろうか。希望の会社に就職できた人だって、自分が成長できる実感を日々味わえている人は多くないに違いない。

 入社4年目の木村由梨さん(仮名・27歳)も、思い通りの就職活動ができなかった一人だ。新卒でメーカーに入社してからずっと、ある懸念を抱いていた。「この会社、業績が良くないはずなのに、危機感がない」。職場の人間関係は良好だし、それなりに技術の蓄積もあって得意先からの信用もある。でも、何かがぬるいのだ。

 「昔に比べると、少ない人数、短い期間で商品を開発せねばならない環境の中で、『そんなこといわれても出来ないよ』との雰囲気が漂っていました」。商品開発期間が短いから、以前の商品をちょっと焼き直して終わり。だから売れない。でもしょうがない——。職場全体ができない言い訳をし、楽な方に流されているように感じていた。

 「自分に厳しくなければ、いいものなんて作れない。でもこの中にずっといたら、私もきっと流される。ぬるさに染まって、中途半端な商品にOKを出すような人間になってしまうんじゃないだろうか」。ずっと不安だった。

 これ以上ここにいたら抜け出せなくなるとの危機感がピークに達した入社4年目の8月、転職活動を開始した。しかし特殊な開発にかかわっていたため、求人が見つからない。「今ならまだ職種転換もできるんじゃないか」「専門学校に通って出直す道もあるんじゃないか」と目指す方向が見えなくなった時期もある。「これだけのことをやりました!といえるだけの実績があるわけじゃないから、この仕事でやっていけると思えなかったのかもしれません」

自分を諦めない。チャンスを信じ続けることの大切さ

 そんなある日。「ここで仕事をしてみたい」と思える求人に出会った。業界は違うが自分のやってきたことを生かせる。なにより、ものづくりスピリット溢れる社風が有名な企業だった。「ダメな商品プランには、徹底的にダメ出しされる厳しさの中で仕事がしてみたい。どうしても、行きたい」。

 応募すると決めてからは、必死だった。どうすれば「この人が欲しい」と思ってもらえるかを考え、一字一句こだわりながら職務経歴書を作った。これまでどんな商品を手がけてきたか、ファイルにまとめた。連日、徹夜作業になった。

 そのかいあって、面接に呼ばれた。丸一日掛けて、試験、プレゼンテーション、面接を行った時には「出来る限りのことはやりつくした」と思えた。そして内定。

 転職活動をするまでの間、「私はここで、このまま終わってしまうかもしれない」との思いにのみ込まれてしまいそうなことがたびたびあった。自分の力をもっともっと伸ばせる環境に身を置いてみたいとの欲求に蓋をして、簡単に転職できそうな仕事に気持ちが傾いた時期もあった。しかし、自分を諦めてはいけない。

 「数年後の自分のイメージを持ちながら今の仕事に取り組んでいると、そう遠くないところにいることができる、というのは本当だと思いました。外でも通用する力が付いているだろうかとの不安を抱えながら、自分なりにアンテナを張って仕事をしてきたこの3年半は、無駄ではなかった」

 人生の中で思い通りにならないことは、たくさんあるだろう。それでもいつか巡ってくるチャンスを信じて、自分の出来る限りのことを精一杯やっていれば、もっともっと自分を生かすための転機は必ず訪れる。


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文/中村 陽子(編集部)
デザイン/東 聖子(編集部)

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