「職場や仕事が楽しければ、体を壊すこともない。それがわかったから、もう一度正社員への挑戦を決めたんです」
山本絵里さん(29歳・仮名)は、今回の転職を決意した動機を、笑顔でこう語った。
山本さんは都内の私立大学を卒業後、子供服のメーカーに就職。営業職としてキャリアをスタートさせた。しかし仕事は予想以上にキツかった。毎日深夜にまで及ぶ残業、頑張っても頑張っても達成できない高すぎる営業目標。休日も少なく、繁忙期には週に一日休めるかどうかという状態だった。
就職して一年半が経とうとしていたある日、異変は突然やってきた。
「仕事中に突然、体中に激しい痛みを感じたんです。特定の部位じゃなく、全身に痛みが走ったので、不安と恐怖で思わずその場に座り込んでしまいました」
突然全身に襲ってくる痛みはその後も治まることはなかった。そのたびに仕事の能率は落ちた。山本さんにはその原因は分かっていた。
「体調を壊した原因は、ハードワークや仕事の責任ではなく、ストレスだということは分かっていました。職場に溶け込めず(※1)、営業という仕事と自分の能力の相性に疑問を感じ、上司にも付いていけなかったからです」
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