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  — 変革する日本の製造業・第1回 — 技術の時代から情報の時代へ
株式会社オーテック 代表取締役CEO 呉宮仁鎬氏

長引く経済不況、中国をはじめとするアジア諸国の台頭。日本の製造業はかつての優位性を失いつつあるように見える。しかしそうした中、情報技術や国際的なネットワークを駆使し発展を遂げてきたメーカーは多い。では、今後どのような企業がこれから伸びていくのか。また、どんな人材がこれからの製造業に求められているのか。工業界グローバルポータルサイト「ものづくりタウン21」を運営し、日本のものづくりの将来を見据え国際舞台で活躍する株式会社オーテックCEO・呉宮仁鎬氏にお話を伺った

株式会社オーテック 代表取締役CEO 呉宮仁鎬氏

[PROFILE]
1964年大阪府東大阪市生まれ。大阪工業大学卒業後、メーカーを経て95年株式会社オーテック設立。2000年ミレニアムトレード株式会社設立し、中小製造企業におけるグローバルファクトリーメガネットワーク化を提唱。現在は工業界ポータルサイト「ものづくりタウン21」を運営、アジアを中心に世界10000社以上とのネットワークを持つ。財団法人大阪市都市型産業振興センター、大阪産業創造館「ものづくりコーディネーター」、大阪市「ものづくり再生会議」委員等、務める。

技術だけでは生き残れない
 「かつてメーカーはある程度優れた技術や設備を持っていれば、それだけで仕事が舞い込んできました。国内でも海外でも日本製品に対する需要は高かったし、品質や価格面で日本に対抗できるライバルもまだ現れていませんでしたから。技術さえ身につければいい仕事ができる。一生食べていける。私自身、そう考えて製造業界に入ったのです」と呉宮氏は語る。

 「バブル経済が崩壊した頃から状況は変わってきました。需要の低迷。“世界の工場”としての日本の地位低下。特に中小企業は苦境に立たされました。それがなぜ必要なのかもわからずに、ただ注文されたものだけを作ってきたからです。つまり、ものづくりに関してはプロでも、マーケティングやセールスという点では弱かった。そこで私は発注側が何を求めているかという情報をいち早く探り、その課題を解決できるような技術を売り込もうと思ったのです」。1995年、株式会社オーテック設立。ウインドウズ95が大ヒットするなど、日本のIT時代元年と言える年でもあった。

情報力で"歴史"に対抗する
 創業間もないオーテックにとって、市場開拓と情報収集のための武器はITだった。大手メーカーなど古くからある企業に歴史では対抗できないが、新しい情報を積極的に取り入れることで一歩先んじることはできると考えた呉宮氏は、他社に先駆けてインターネットを企業経営に活用する。

 「国際最適購買という言葉があります。企業は競争力を高めるために、資材や部品調達に要する購買コストを削減しなければいけない。そのためのサプライヤーを、系列という枠にとらわれず企業がパートナーとして世界中から広く募ることです。オーテック創業当時、各メーカーはこの“国際最適購買”のために自社の調達サイトで新たなサプライヤーを求めていました。しかし、当時はまだIT技術に長けた中小企業は少なく、創業から間もない私たちの提案にも十分に耳を傾けてもらえました」と呉宮氏は言う。既存の会社に打ち勝つためには、より最新の情報を仕入れ、最良技術を提案し、新しい市場にチャレンジすること
世界に比べIT化が遅れていた日本の製造業に一歩抜きんでる形で、オーテックは国内シェアそして国際競争力を高めていった。

製造業の成長期に必要な人材像とは?
 「やはり製造業ですから、ものづくりに直接携わる人間が大切なのはいうまでもありません。ただ社会の成長にともなって、求められる人材ニーズは多様化しています。新しい提案ができるエンジニア、クライアントのニーズを探り市場そのものを作り出すマーケッターなど、それぞれの分野のエキスパートが必要になってきます。私たちも求めていました。しかし創業時にはそれだけ多くの人材を雇えません。そのとき助けてくれたのは、いろいろな分野で実力を発揮してくれる"ゼネラリスト"たち。彼ら一人ひとりが情報をうまく利用し、それぞれが経営者のような感性をもって頑張ってくれましたから」と呉宮氏はオーテック創業時期を振り返りこう答えてくれた。
 高い専門性とマネジメント性、経営感覚。専門分野に特化しながら、物事にはフレキシブルかつ多様に対応し、新たな価値を生み出せる。製造業のみならずとも、こうしたスキルを兼ね備えた提案型の人材が今の日本企業に多く求められているといえる。

<<※第2回 (10月24日公開)につづきます>>

日研総業株式会社 WEB人材事業部 道幸俊也氏 聞き手:道幸俊也(みちゆき としや)氏

日研総業株式会社 WEB人材事業部
オペレーションマネージャー/キャリアコンサルタント



1963年生まれ。厚生労働省認定キャリアコンサルタント(JAD認定キャリアカウンセラー)。京都工芸繊維大学卒業後、日研総業株式会社へ入社。アメリカ・シリコンバレーにて日本能率協会の生産性工場のプロジェクトに参加。帰任後、同社WEB人材事業部を立ち上げ、製造業を専門にした転職支援・キャリアカウンセリングを行っている。米国でのコーディネート経験が活きるカウンセリングが好評。
Jobチャン

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2003.10.22 update 戻る

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