これ、別に占いでも何でもなく、「匂い」なんです。その人が醸し出している物質をキャッチしているだけのこと。

もちろん、私も最初からそんな能力が備わっていたわけではありません（そんな能力があったら細木数子になれる）。いろんなタイプの人と仕事をし、幾度となく苦い経験をしたことで身につけた処世術です。

特に直接一緒に仕事をする人の採用については苦労してきました。私も、「明るくてやる気満々」にどれだけ泣かされたことか……。

「頑張ります！」なんて言った翌朝に「辞めます」ってあなた……。聞けば、ずっと違和感をもっていたと言います。じゃ、昨日の「頑張る宣言」は何だったの？　人間不信になりますよ。

やる気を見せられると、つい期待をかけてしまうのが人間。ですが、「他人に対して過度の期待をしない」ことを学びました。

さて、昨日、未経験でWebの世界へ飛び込んだ女性を取材しました。彼女は音大出身で、ITとは真逆の世界にいた人。音大を出ても、音楽の世界で食べていける人はほんの一握りなのだそうです。とはいえ、どの道に進めばいいのかを考えあぐね、卒業しても半年間はアルバイト生活をしていました。

そんな彼女が今、民放キー局の報道フロアでWeb担当として働いているんです。脱アルバイト、そして「未経験」のカベを突破できたのはなぜでしょう？

その理由を担当者に聞いてみました。
１） 大学４年間、同じファーストフード店でアルバイト。地道に昇進し、アルバイトのリーダーに　→　向上心と持続性
２） 社員に代わってクレーム処理なども担当　→　打たれ強さと責任感

要するに、ファーストフード店でのアルバイトを「やり遂げた」経験を買われたわけです。

それに応えるかのように、彼女はめきめきと成長。音楽からWEBという新たな目標を見つけ、日夜さまざまなことを吸収し、進化し続けています。

見た目も話し方も決して派手ではない彼女ですが、内側には熱く燃えるものを持っている。しかし、採用前にそれを見抜くのは至難の業です。そこで、向上心や持続性、責任感などを見るのに、ほんの些細なことでもいいので、「何かをやり遂げた経験」を確認するのはかなり有効だと言えます。

一度何かをやり遂げた人は、次に課題がやってきたときにも必ずやり遂げます。それは、何かをやり遂げたからこそ得られる自己の成長や喜びを知っているからです。

逆に、表面的な明るさややる気だけで世間を渡り歩いている人は、いつまでも「やり遂げる」経験を積むことができません。

それは「ラク」な生き方に見えて、その実自分の首を絞めているようなもの。表面だけの「やる気」はいつか通用しないときが来ます。そのときに後悔しないためにも、20代のうちに何かひとつでも「やり遂げた」経験を持つことはとても大切なことです。

「これまでの人生で何かやり遂げたことがありますか？」

ぜひ一度、自分に問いかけをしてみましょう。