仕事自体は特別なことではなく、一般病棟と同じ普通の看護でした。あとは心のケアですが、心のケアをしろと言われても何をすればいいか分からないので、患者さんのお話を聞くくらいしかできませんでした。
でも話を聞くだけではしょうがないんですよね。信頼関係が築けた上で話を聞くというならわかるんですが、ホスピスではそれも難しかったんです(注1)。患者さんは病院内ではなかなか本音を出してくれませんから。
それでまたつかみ所がなくなっちゃって。ホスピスの方がもっと心の交流ができていると思ってましたからね。
ただ、「患者さんは納得してホスピスに来るわけじゃない」、「ホスピスに行ったからといって死が受け入れられようになるんじゃない」って分かったことが収穫でした。
やっぱり死を受け入れるには、ホスピスに入ることよりも、「どうやって生きてきたのか」の方がよっぽど大事なんですよね。その延長線上にホスピスがある人は充実した時間が過ごせるでしょうけど、そうじゃない人にとっては箱だけあってもしょうがないということが分かった。私が働きたいのはホスピスだと思ってたんだけれど、そうじゃないってよく分かったんですね。 |