そういう方たちにまず言うのは、「見捨てられたわけではない」ということです。患者さんが「見捨てられた」と感じることでも、今の医療や社会の限界でその処置は仕方がないということもあるわけです。患者の視点から見てもそれを知ってもらうことが必要だと思うので、まず今、なぜこういう状況になっているかを正しく理解していただきます。
それから今後どうしていくかを自分で決断するサポートをするんです。医師に見捨てられたと言われたとしても、今後どうしていくかを決めるのは自分なわけですからね。
医師に言われたことを落ち着いてもう一回話してもらう中で、患者さんが医師から言われたことが半分くらいしか理解していなくて、もう一回聞いてみなければ分からないというのであれば、医師の所に同行して、患者さんだけでは聞ききれない所を一緒に聞くといったこともします。
その上で本人がどうしたいのかを一緒に考えます。治療を続けたい方や、ホスピスに行きたい方には、それぞれに合う医療機関を一緒に探したり、紹介できるところがあれば紹介したりするんです。
つまり、医療コーディネーターのメインの仕事は、患者さんに病院等を探したり紹介することではなく、現状を正しく認識してもらって、自己決定のサポートをすることなんです。立場は中立で、病院の側でもないし患者さんの側でもありません。 |