新しいコンピューターシステムが稼動した初日。
案の定、色々な部分に細かい不具合が発生してこのままでは業務続行不可能か?というギリギリの局面の中、冷汗を流しながら乗り切っていく時ほどストレスが高い瞬間はない。
自分より一回りも二回りも年下のお客さんから
「これ使いにくいなあ」
と愚痴られたり、
「こんなんじゃ業務に支障がでるでしょ!今すぐ直して下さい!1時間後に直して!」
と若い女医さんにきつく迫られたりすると、かなり気分が萎える。
理不尽な要求をしてくるお客さんの顔にパンチを炸裂する自分を妄想しながらストレスをやり過ごそうとしたり、最悪走って逃げてしまいそうになる。
この間は、東京へ向かう新幹線の中にいるにもかかわらず大阪のお客さんから
「今すぐ来い、どうしてくれるんだ!」
的なクレームをずーっと受けていた。
「うるせえ!こちとら東京移動中なんでどうにもならねえんだよ!帰ってくるまで待っときやがれ。てやんでえ(なぜか江戸っ子口調)」
と言いたい気持ちをグッと抑え、
「はい・・・はい・・・申し訳ありません・・・」
と謝罪するだけしか術がない自分が情けなく、正直泣きそうになった。
自分で選んだにもかかわらず、こんな厳しい辛い仕事、何が楽しいのやらと自分の職業を呪ったりする事もたまにある。
でも明日も、そして来月も多分同じ仕事をしているだろう。
ついこの間、年初にシステム導入したお客さんとオフタイムの時に道端でばったりと会った。
初日に呼び出され、かなり厳しい口調で不具合を指摘された人だ。
仕事で会う時はこっちはスーツ、相手は白衣を着ているので見慣れない私服姿にお互い
(どっかで見たことあるな・・・)
といった雰囲気ですれ違ったのだが、数歩歩いてお互いが同時に振り返ったので
「あっ・・・、××先生」
と恐々と声をかけた。
「おや、ひげぱわーさん。こんなところで」
と挨拶をされた。
「いやー大変だったけど、システムなんとか利用させてもらってるよ。また病院遊びに来てね。色々相談したい事もあるし。」
と気さくに声をかけてくれた。
先週、どうしても今日中にデーターを整備したいというお客さんに付き合って夜遅くまで作業をしていた。
一緒にいた薬剤部の先生(女子)が気を遣って1時間に1回コーヒーを入れてくれた。
作業が完了した時に
「とっても助かりました。はい、バレンタイン」
といってチョコをくれた。
お金でも名声でもなく、私にとってはそんな些細な、でもちょっと素敵な出来事がこの辛い仕事を続けさせてくれる原動力となっているようです。
案外単純。
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