キャリア&転職研究室|ITエンジニアのおにぎり|第69回 キラーパスは無謀か?

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ひげぱわーって誰?

1964年生まれ/大阪在住

・小学校高学年あたりから、学業そっちのけで自分はプロのミュージシャンになるという妄想を抱き続ける。
・大学卒業間近に妄想力尽き就職する羽目になる際に適当にIT業界を選ぶ。
・知らぬ間に1000人企業の支店でシステム部統括マネージャと言われてしまう。
・現在社員数10名ちょいのベンチャー会社マネージャー

 童顔を隠すため無精ひげを生やし「若干不良が交じったイケてるアントンプレナー風」を演出してみるが昨今は年齢もあって普通におっさん化してるような気がする。
たいした技術力はないが、笑って仕事ができる環境を作り上げる技術力はきっとあるんじゃなかろうかと思ってるし、寧ろそれが本当の技術力と豪語したりしてる。

キラーパスは無謀か?

キラーパスという言葉がある。
サッカー用語のようで、得点に直接つながるような鋭いパスで相手を一気に出し抜くという意味らしい。

じつは日本の病院相手に医療システムを導入している私たちのチーム内でも、このキラーパスという言葉はよく出てくるのだが、ちょっと意味合いが違う。
 仕事内容どころか事前情報、というかもう顧客名さえ知らないような仕事をいきなりふられる事を“キラーパスをくらう”と言っている。

用例:
「ひげぱわーさんごめん、鹿児島のお客さんなんだけど、僕明日いけなくなったから代わりに行っといて」
「えっ!?なにそのキラーパス」

そんな事を前日の夕方5時なんかに言われたりするとかなり精神的に厳しくなる。

 自分の移動手段とベッドを確保すべく、飛行機・ホテルの予約から元々予定していたスケジュールの変更手配、客先のシステム環境、対峙する相手の性格(なにせキラーパスなので事前情報がまったくない)という基本的な事から、付近の美味しい鹿児島料理のお店(おいおい)といった些細な事まで、段取りのために頭の中はぐるぐると渦のように駆け回り、なんとか収まればいいのだが、逆に収集がつかなくなると

「あいつ、なんでまた俺にそんなキラーパス放ってくるわけ!?」
という恨みつらみから始まり、あげくの果ては
「俺の天職とは?幸せな人生とは?」
とあらぬ方向へ思考が飛び火する。

 最近、このキラーパスをくらってそのままあっさりと社員が辞めてしまうという出来事が立て続けに起こった。いずれも20代の若者。

「最近の若いやつは」
なんていう決まり文句の苦言になってしまうのだが、どうも最近の子はちょっとでも理不尽で嫌な仕事をふられると、チャレンジしてみるという気配を出さず、逆にそんな理不尽な仕事はやってられんとあっさりと辞めてしまう子が増えた気がする。逆境を楽しむという若者はすっかり見当たらなくなってしまったように感じる。

 よくよく考えてみると、私のエンジニア人生って、“マネージャーが失踪したから明日から交代して”
とか、“誰も出来る人がいないからこのプログラム明日までに君が完成させてね”といった、この手のキラーパス系の出来事が多かった気がする。
 その度に、あるときは一手に引き受けて徹夜で仕事したり、あるときはそのまま別の生け贄を探してスルーパスしたりという回避をしながら、打たれ強いエンジニアに育ってきたのかなという気もしている。

というわけで若い諸君には、正論ばかり主張してイレギュラーバウンドな仕事を理不尽だと拒否する常識人にとどまらず、時にはそんな“理不尽な仕事にチャレンジしてみる”という気概を見せていただきたいなあと思う。

 キラーパスくらって、軽やかにそしてビシッとゴールを決める技術力はあるに越した事はないが、あらぬ方向にシュートし観客席から大ブーイングがおきても、
「いやーごめんごめん。わははは。」
って笑ってごまかしたっていいと思う。

キラーパスに慣れ、
「どれだけお客さんに怒鳴られようと、死ぬワケでもあるまいし・・・」
という、なかば仏のような達観した冷静な心が鍛えられる事は、きっと将来のエンジニア人生の糧になると思う。

そんなわけで、今日も私は
「ふひー。まったくひどい仕事だぜ」
などと独り言ちながら、昼間の記憶を消して熟睡すべく、焼酎をかたむけながらひたすら酔っていくという鹿児島の夜を迎えている。

・・・辛い・・・

(2012.1.23)

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