現在この原稿は、新幹線のぞみ号東京行きの車内にて書いている。
怪しくキーボードが光る愛用のMacBook Airはバッテリーも満タン、テイクアウトしたスターバックスコーヒーの香ばしい香りも私の創作活動の心強い味方となってくれている。
そういえば、隣に座る、多分就活中であろうリクルート姿の女性が先ほどからチラチラと視線を投げかけてきているような気がする。
きっとこの子は
「はあ、なんて素敵なビジネスマン、私も就職出来たらこんな上司と一緒に出張して旅先で・・・・うはあ」
なんて思っているに違いないぞ、ぐふぐふ。
って妄想しているほど車内のノートパソコンパチパチ姿というのはあまりカッコいいものではない。
傍から見れば、単に就業時間内に仕事を終えることができなくて焦っている人にしか見えない。
最近出張が多くなって改めて思うのだが、特急や新幹線より飛行機に乗る人、そしてブリーフケースで日帰り出張する人よりキャリーバッグをガラガラ引いてる人のほうが
「どお?オレ颯爽とビジネスしてるでしょ?」
的な“オレハイケテルビジネスマンオーラ”をより強く発散しているような気がする。
まあ会社の経費を使って正規料金で飛行機、新幹線使って日本中そして世界中を飛びまわる事を認められている=会社にとって重要人物なわけですから、どや顔も致し方なしって事なのでしょう。
でもなんだか出張している時の自分というのは個人的にあまり好きではない。
そんなイケテルビジネスマン集団に混ざっている自分もなんだか居心地悪いし、仕事のための移動時間にどんどん自分の人生が削られていっているようで不安にもなる。
最近観て印象に残っている映画に
ジョージ・クルーニーが主演している「マイレージ、マイライフ」という作品がある。
1年のうち300日以上を出張のために全米中を飛行機で飛びまわるのに費やし、マイレージをためるのを目標としているというクールでスマートな主人公。
肉親とも疎遠で、結婚に興味がなく、女性関係も非常にドライな主人公が、ある出来事がきっかけに落ち着いた人生を選択しようとするが・・・
といった感じの話。
昨今、国内に留まっている社会人にもう未来はない的な記事やコラムを見かけるようになった。
これだけ仕事の領域がグローバル化している時代、それはそれで正解なのだろう。
しかし、そんなどや顔出張族であふれる未来を想像してみると、なんだか穏やかで雅な日本のアイデンティティがなくなっていくようで少し寂しい気もする。
「マイレージ、マイライフ」も、そんな勘違いセレブ出張族に対して、時代の流れは仕方がないけど、たまにはちょっと振り返って少し大地に足をつけてみろよと言ってるような映画だった。
ところで話は最初の妄想話に戻るが、よくよく考えてみると自分の出張人生の中で乗った飛行機、新幹線で隣に妙齢の女性が座った事はほとんどない。
JALもANAもJRも発券の時に妄想癖のある私の怪しい眼光をすばやく読み取っているとしか思えない。
・・・悔しい(笑)
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