キャリア&転職研究室|ITエンジニアのおにぎり|第53回 エンジニアの帰属意識

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ひげぱわーって誰?

1964年生まれ/大阪在住

・小学校高学年あたりから、学業そっちのけで自分はプロのミュージシャンになるという妄想を抱き続ける。
・大学卒業間近に妄想力尽き就職する羽目になる際に適当にIT業界を選ぶ。
・知らぬ間に1000人企業の支店でシステム部統括マネージャと言われてしまう。
・現在社員数10名ちょいのベンチャー会社マネージャー

 童顔を隠すため無精ひげを生やし「若干不良が交じったイケてるアントンプレナー風」を演出してみるが昨今は年齢もあって普通におっさん化してるような気がする。
たいした技術力はないが、笑って仕事ができる環境を作り上げる技術力はきっとあるんじゃなかろうかと思ってるし、寧ろそれが本当の技術力と豪語したりしてる。

エンジニアの帰属意識

 IT業界のエンジニアというのは、所属する企業の業態によって仕事の内容は様々で、例えば社内でパッケージ開発しているエンジニアと、SI(System Integration)を生業とする企業のエンジニアとではその仕事の内容は180度といっていいぐらい違います。
 SIという、顧客のビジネス分析から始まってハードからソフトまでを選定導入する仕事にエンジニアが従事すると、大体そのエンジニアは、作業場所から生活サイクルまでも、その顧客が中心になっていくので、結果として自社への帰属意識はだんだんと薄れていきます。

 ここ1年以上は私も某企業の情報システム室内に席を設けてもらってほぼ常駐し、主ミッションとして経営層に新しいハードウェアだったり効率的な運用だったり新技術をプレゼンしたりする毎日を送っております。1年以上もそんな事をやっていると、自社をほったらかして、顧客先の社員と共にスキーに行ったり、酒を飲みながら朝まで騒いだりと顧客先との繋がりの方が強くなってくるので、時々自分の会社の事が頭からすっ飛んでたりしております。

 自社からは、
「たまには帰ってこい」
「どこで何やってるかわからん」
などと小言を言われますが、こちとらコンセントレーション高めて、あえて従順な"顧客の犬(笑)"に徹するわけですから、
「君たちは1日8時間自社に座ってるんだろうが、こっちは就業時間中は戦略的に顧客の社員と同化してるんだから、我が社、我が社といちいち余計な仕事は増やしてくれるな。」
といった気分になってしまったりします。

 私のような下請けベンチャーエンジニアだけではなく、隣の席にはけっこうな大手ベンダー会社の課長職クラスが座ってらっしゃるのですが、この方も社外暮らしが長く、毎日ため息つきながら
「もう会社に自分の席はないし、関東いったり関西いったりで自分が何やってんのかよくわからなくなるなぁ。」
などと愚痴っておられます。

 そして、顧客先のフロアをそんな風に転々と渡り歩きながら、ベンダーのエンジニア、ユーザ会社のエンジニア、私のようなベンチャーのエンジニアなんかが、妙な出会いと意気投合をしたりすると別会社を作って独立したりするようなケースもあります。

 そんなエンジニアリング生活って、一見自分の居場所がなくて不安定な立場っぽくて日夜不安にさいなまされているように見えるかもしれないのですが、じつはこんな境遇ってそれはそれでありかなと最近思うようになってまいりました。

”自社への帰属意識がないエンジニア”って考えようによっては、
”会社に依存しない、自分の力だけが頼りのエンジニア”
って事なんですよね。

毎日、出世狙って上司の顔を伺ってみたり、意味のないスタンドプレーをしたりする従順なエンジニアより、
「報告書を出せだの、年齢と共に自分のキャリアを考えろだの、知るかバカ。こっちは現場で機関銃乱射してんだよ。自分の陣地でふんぞり返ってないでてめえもたまにはこっち来て戦え!」
とまあ決して喧嘩を売ってるわけではないのですが、それぐらいの気構えで自社ほったらかして最前線にいるエンジニアの方が、逆境にも不況にも耐える精神的に強いエンジニアになっていくような気がします。

 サラリーマンが集う飲み屋なんかに行くと、
「だいたいあの部長が無能なんだよ!」
「うちの社長はワンマンでなんか勘違いしているバカなんだよなぁ」
「だいたいあの体制では仕事できるかってんだ!うりゃー!」
などと自分が所属して給料貰ってる会社であるにもかかわらず、自社を卑下し貶める会話があちこちから聞こえてきます。

会社に依存しないエンジニアは、実は帰属意識こそ薄れていますがけっして自社の悪口で酒を飲みません。会社と自分は雇用者と被雇用者の関係ではなく、失敗するとクビになるかわりに、会社が下手を打つと平気で切り捨てる事ができる独立した技術屋に昇華するわけです。
(まあ、ずーっと放浪してるわけなので、悪口のネタじたい持ってないわけですけどね。) なんだか、"孤高の戦士"って感じでクールじゃないですか(笑)

確かに、40代を越えたあたりから現場は体力的にも精神的にもきつくなってきます。
会社帰って、××部長なんて肩書きもらってお茶すすりながら社内政治に明け暮れるというのはまあ肉体的にも自分のプライド的にも楽なのでしょう。
IT業界では特に、40歳あたりから自分のキャリアやEXIT戦略を考えないと、現場に固執しているだけでは結局"使い物にならない老獪"になってしまう可能性もあります。

でも、フラフラのジジイになっても現場で戦って、戦友という人脈を作っていくという毎日を過ごすエンジニア。
それはそれで、70近くになってもロックやってるローリングストーンズのミックジャガーみたいでなんだかかっちょいいじゃないですか。

 今の日本は、労働力の海外流出、円高、震災、原発事故、年金枯渇となんだか明日の生活もどうなるか分からない不安定な状態。
 そんな時代だからこそ、自社をほったらかして、ジジイになっても現場でロックしてる孤高のエンジニア。
けっこう、末永くサバイバルできそうな気がするのですが、いかがでしょうか?

(2011.5.23)

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