時刻は午後9時を回って10時にさしかかろうとしている頃。
フロアには6、7人まだ残っていてちょっとした無理難題に直面し若干ストレスが高くなっている雰囲気。
客から言われた「これぐらいやったらすぐ出来るやろ」という何気ない一言に、耐えていた緊張の糸が切れたのか、私の斜め前の女性が突然泣き出した。
「こんなん出来ない! わーん」
ぐらいなら、一泣きして落ち着いついた所を見計らって、
「泣いてんじゃねー! その仕事こっちによこせ!」
なんて気の利いた男前を演出してみたりするのだが、この日は違った。
「もっもうこんな人生嫌やー!!!」
と、机に突っ伏して泣いてしまったのだ。
しばらくすると、涙目のままもう一度画面に向かおうとしたので、
「おい! もう帰るぞ!」
「まだ仕事残ってる。ひっく。」
「そんなんで仕事になるか! 散歩しよう散歩!」
といって連れ出して、大阪の街を1時間ぐらい散歩した。
「上司が気に食わない。」
「自分の将来が全然見えない。」
「この仕事自分に向いてるかどうかもわからない。」
ブラブラと歩きながら取りとめも無い話をずーっと聞き続ける。
この時、私は何を考えていたのだろうか?
「全くこれだから女のエンジニアは扱いづらいんだよな。」
残念ながら一瞬こんな考えが頭をよぎったのも事実だ。
確かに、この業界の仕事は突然の残業はあるし、現地調整と称して急な出張もあるし、それこそデスマーチ状態になれば、「もはや拉致!」といった軟禁状態が続く場合もある。そんな状況に陥って、男連中と一緒に顔をテカテカにして夜中の3時頃までパソコンに立ち向かう女性の姿はあまり想像できないし、実際にそこまで付き合ってくれる女性のエンジニアもあまり出会ったことがない。
・結婚するからと言って、仕事のスケジュール無視して辞めた女性エンジニア
・家庭の事情で残業できませんと、スタスタと帰っていく女性エンジニア
そんな女性エンジニアが元で顧客とトラブルになった事も多々あった。
「果たして、ITエンジニアという職業は女性に勤まるのか?」
しかし、そんなトラブルに巻き込まれた私であっても、この問いに関しては、今でも「勤まる」と思っている。
残念ながら男性というものは、年を取ればとるほど自分のプライドや、ステータスを気にしだし、妙な権勢欲が出てきたりする。
「俺の理屈で仕事してりゃいいんだ」
「俺のロジックで完璧なんだから客は言うこと聞いてればいい」
そんな男連中の下らない主義主張が原因で、システムの品質が保てなくてプロジェクトが頓挫したりする事はそうそう珍しい事ではない。
そんな男達の狭量なプライドを冷ややかな目で眺めながらプロジェクトを冷静に分析し最適な解を導き出し、柔軟なプロジェクト運営を目指すのに女性エンジニアはすごく向いていると思う。
実際、去年やったWEBシステムのプロジェクトでは、リーダーの私の言うことを聞かない男性プログラマーに辟易とし、プロジェクトが複雑化し完成が見えなくなり、焦る私を軌道修正しながら、男性プログラマーとの間に立ってシンプルにまとめ上げていってくれたのは、フリーの女性プログラマーだった。
ITエンジニアの世界はまだまだ男系社会。そしてその男達も、あまり女性慣れしていない男性の比率が高いような気もする。(笑)
でも、そんな風土にもめげず、本当に自分の好きな仕事としてITエンジニアを目指す女性は、ちっぽけなプライドで視野狭窄に陥りがちな男性エンジニアの欠点を補ってよりスムーズなプロジェクト運営のキーマンになれると思う。
(まあ本心は、一緒に仕事する仲間を女性だ男性だというレベルで考えなくてもいいようになる事なんですけどね。)
これから、IT業界で働いてみようと思っている女性の方は恐れず果敢にこの世界に飛び込んできて欲しいと思います。がんばって下さい。
そうそう、突然泣き出した女性エンジニアは、今年もちゃんと大きなプロジェクトのエンジニアとしてがんばって働いています。
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