【注1】経理
当初予定されていた職種はエンジニアだったが、諸事情により急遽経理へ。もちろん経理の勉強などしたことはなく、知識、資格も皆無。おまけに数学も不得意だった。ゆえに「簿記はもちろん、現金出納帳の付け方も分からない」ところからのスタート。しかし業務の傍ら独学で簿記の3級を取得。知識と経験を積んでいくうちに経理の仕事も楽しいと感じるようになっていった
【注2】基幹システムの導入のプロジェクト
A社首脳陣は1988年にグループ全体のIT化を決断。基幹システムを導入し、全国100社以上の各支社、関連会社の基幹情報を一元的に集約、処理し、どこにいても必要な情報を簡単に引き出せるようにすることで仕事の効率、生産性を高めることが狙いだった。
【注3】情報収集
「システムの仕様を決めるために、全国の事業所、関連会社を回り、一人ひとりの社員に今抱えている業務の問題点やこうなれば能率が上がるという希望を詳しく聞いて回りました。一回では終わらず、同じ事業所に二度三度と通いました。おかげでヒアリング能力やコミュニケーション能力が向上しました」
【注4】会議
「出張から帰ってきたらヒアリングした膨大なデータを元に、システム会社の担当者と機能的でかつ社員みんなが使いやすいシステムにするにはどうするか、夜を徹して議論しました」
【注5】片時も技術書を手放せなかった
「社内にIT技術者がいなかったので、技術書をバンバン買って独学で勉強するしかありませんでした。でも技術書って一冊4〜5000円するものもあって、値段が高いんですよね。でも上司に頼むとそれも会社の資産になるからと経費で買ってくれました。すごく助けられましたね」
【注6】多忙を極めた
「出張で新幹線に乗るのが楽しみでした。"これでやっと3時間眠れる"って。あのころは周囲からも近寄りがたいって思われてたみたいですね。常にまなじりを吊り上げて社内をウロついていたらしいので(笑)」
【注7】始動の日
「やったって気持ちより、不安の方が大きかったですね。エンドユーザーが使いやすいようにマスタ設計や運用ルールなど相当悩んで作ったので。使いづらいって言われないかヒヤヒヤでした」
【注8】ユーザーサポート
「全国の支店からシステムに関するトラブル、使い方、疑問、質問に対応しました。中にはパソコンそのものに慣れていない女性や年配の社員もいたので、専門用語をなるべく使わずに、わかりやすく説明しました。ここで説明能力を磨くいい訓練ができました」
【注9】たいていの質問には答えることができた
「システム会社とは保守・運営の契約を結んでいましたが、できるだけ自分で解決しようとしました。トラブルもなんとなく解決したでは気が済まず、その発生原因を徹底的に突き止め、二度と起こらないようにするためにはどうすればいいかを技術書と首っ引きで考えました。そのうち、システム会社しか触れない範囲以外は、大抵は自分で解決できるようになりました。ここでさらに知識を吸収できたことが大きかったですね」
【注10】羨望
「SEが"俺だったらこう作る"って言ってるのを聞くたびに、いいなあ〜、俺もそんなことを言ってみたいな〜って、うらやましかったですね」
【注11】転職を考え始めた
「年末の会社の納会で役員が『今年一年を振り返って将来のプランを考えろ』って言ったのも転職を考えるひとつのきっかけになったと思います。何でも真に受けちゃうんですよね(笑)」
【注12】オラクル・シルバー・フェロー
SEの登竜門的資格。日本オラクルがオラクルデータベースの入門レベルの知識があることを証明する資格で、「SQL」 「Oracle入門」の2科目に合格すると認定される。「資格取得に参考書含めて5万円くらいかかりました。結構いたい出費でした」
【注13】XMLマスター・ベーシック
電子ドキュメント記述言語であるXMLの基礎知識を認定する資格。「セミナーを受けて面白そうだと思ったので受けました。これが今の仕事に生きてます。2つの資格を取ったときはこれで履歴書や職務経歴書の資格欄にちゃんとしたIT系の資格を記入できるってうれしかったですね(笑)」
【注14】決意を新たに
「本当に信頼できる会社の同僚にだけ『来年は今の会社にいないと思う』とあえて言うことで、後戻りできない環境を作りました。なんせそうでもしないと自分に甘くなり、すぐに諦めそうだったので」
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