キャリア&転職研究室|転職する人びと|第2回・後編 希望の職へのエクソダス

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普通の人HOTインタビュー 転職する人々
第2回 鈴木愛子さん(仮名)31歳/アカウントマネジャー
「出会い」で開いた突破口 希望の職へのエクソダス(後編)
【人材バンクネット】に出会うことで、鈴木さんの転職活動は飛躍的なスピードアップを遂げる。運命のコンサルタントとの出会い、そして本命企業からの内定獲得。しかしそれは自分との妥協なき戦いの果てにつかんだものだった。
【人材バンクネット】は宝の山 さまざまな役に立つ情報をゲット
 友人の話はこうだった。

【人材バンクネット】とは人材バンクの集合サイト。登録してキャリアシートを公開すれば、自分のスキルを求める人材バンクからスカウトメールが来る。

 さらに人材バンクは求人を紹介してくれるだけでなく、応募先企業に合った職務経歴書の書き方、面接の仕方などもアドバイスしてくれるらしい。

 友人に教えてもらった当日に会員登録し、キャリアシートを公開。すると翌日には10通以上のスカウトメールが届いた。その後も途切れることなく、一週間で40通を超えた。

【人材バンクネット】【注1】ってすごいんだ──。

 霧の中を手探りで進んでいるようなこれまでの転職活動に、力強いガイドを得た気がした。

 使い込んでいくうちに、いろんなことが分かってきた。

「やはり最初は単純にメールが沢山来るということでうれしかったですね。でもそれで喜ぶのは早計です」

 スカウトメールに目を通してみると、中には自分のキャリアシートをちゃんと見ているとは到底思えないものも多かった。ゆえに「たくさん来た」=「価値が高い」ということではないと気づいた。

 そこでさらにこう考えた。

「とりあえずキャリアシートの項目を埋めるだけでこれだけスカウトメールが来るのだから、より詳しく自分ができることや成果、今後やりたいことを書けば、もっとスカウトメールが来るのでは?」

 その仮説は見事に実証された。

 さらに、より魅力的かつ分かりやすい言葉や表現方法【注2】で書くように心がけた。

 そんなキャリアシートのブラッシュアップ【注3】を繰り返すたびに、スカウトメールの数、質ともに向上【注4】していった。

 その中でぜひ会ってみたいと思うコンサルタントとコンタクトを取り、人材バンクに登録に赴いた。

人材バンクでいきなりのダメ出し 目からウロコの連続
「こんな職務経歴書じゃ絶対に書類選考を通過できませんよ」

 最初に登録に行った人材バンクでは、コンサルタントに職務経歴書を突き返されながらこう言われた。自分では知恵を絞って作ったつもりだった。しかしあっさりのダメ出し。

「このアピールポイントはもっと前にもって来るべき。それからここは・・・・・・」
怒涛のように浴びせられる具体的な改善方法。これがプロ【注5】というものか──。目からウロコがぼろぼろ落ちる思いだった。

 このほかにも5社の人材バンクに登録。多いときには一日に3人のコンサルタントに会い【注6】、じっくりと話を聞いた。

「ひとりにつき2〜3時間ほど面談していました。あるコンサルタントには、もうカンベンしてくれって言われちゃいました(笑)」

 たとえ求人を紹介してくれなくてもいい、採用につながらなくてもいい、コンサルタントは自分がもっていない貴重な情報をたくさん持っている。それを少しでも引き出したい。

 そんな貪欲な姿勢で転職活動を続けていくうちに、成果も出始めた。応募した4社すべての書類選考を突破。いけるかもしれない。いつしか不安は希望へと変わっていた。

運命の会社・コンサルタントと邂逅 自動配信メールも見逃すべからず

 鈴木さんが登録したのはスカウトメールを送ってきた人材バンクばかりではなかった。

 スカウトメールだけでなく、毎週送られてくる「新着求人情報」メール【注7】も欠かさず入念にチェックしていた鈴木さんは、その中にあこがれの企業の求人情報を発見。その求人はエンジニアとしてのスキルを求められていたが、ダメ元でキャリアシートを提出した。応募先の人材バンクは「株式会社キヤリアプロセス」といった。いわば攻めの登録。このアクションが転職活動の大きな突破口となる。

 キヤリアプロセスを訪れた鈴木さんを待っていたのは、佐藤いづみコンサルタント【注8】。しかしここでも厳しくもありがたい「愛の鞭」が待っていた。

「30過ぎの女性の転職は難しいんですよ」

 佐藤氏はいきなり真顔でこう言った。

しかしもう落ち込まなかった。難しいのは自分でも分かっている。逆にどうやって成功させてやろうか。ファイトがわいてきた。これまでの苦しい転職活動の中で、鈴木さんは精神的にも強くなっていた。

「今思えば、この厳しい言葉も佐藤さんの母心だったと感謝しています」

 面談では、求人情報の詳しい説明の後、簡単な経歴をヒアリング。結果、この求人は鈴木さんには難しいという結論に達した。

「思った以上に技術的な知識・経験が必要とされる求人だったので、私も納得しました。元々ダメ元での応募でしたし」

 しかしそれで終わりではなかった。その直後、佐藤氏は別の求人情報を提示してきた。外資系IT企業でのアカウントマネジメント業務。鈴木さんは目を見張った。

「直接顧客と会ってサポートができる、まさに私の希望ぴったりの求人だったんです!」

 佐藤氏は事前に送られてきていたキャリアシート、職務経歴書、履歴書で、鈴木さんのキャリア、適性、志向性に合う求人情報をいくつかピックアップしていたのだ。

 さらに幸運なことに、佐藤氏はこの企業に多くの紹介実績があった。長年の付き合いで、人事担当者とはまさにツーカー。企業が求めるスペック、人物像を深く理解していた。

 鈴木さんはその場で応募を依頼した。

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プロフィール
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昭和48年生まれの31歳。独身。外資系メーカーのヘルプデスクを約3年間勤め、この冬からアカウントマネジャーとして新たなキャリアをスタート。本格的な転職活動は今回が初めて。
鈴木さんの経歴はこちら

【注1】【人材バンクネット】
「登録してからは毎日見てました。特にコンサルタントで検索できるのがいいですね。【人材バンクネット】の後ろにはこんなにたくさんのコンサルタントがいるんだと思えて心強かったです。詳細画面にはコンサルタントの顔写真やその方のキャリアが掲載されていますよね。進捗が滞ったときは、コンサルタント検索をして、どの人が自分に合うか、考えながら眺めるだけでも楽しかったです。中でもこの仕事にかける意気込み、ポリシー、モットーなどスピリッツが感じられる人に積極的にコンタクトを取りました」


【注2】より魅力的かつ分かりやすい言葉や表現方法

「自分で考えなくてもいいんです。ネットや雑誌を探せばたくさん出てきますから」

【注3】キャリアシートのブラッシュアップ
「よく昼休みに会社近くのネットカフェでキャリアシートのブラッシュアップやスカウトメールチェックをしていました」

【注4】質ともに向上
1. きちんと自分のキャリアシートを見た上で送ってきていると感じさせる(全く未経験の業界・職種のメールは論外)
2. 誰にでも送っているのではなく、自分だけに送っていると思わせるメール
3. 「鈴木さんに本当に合うコンサルタントは私です」というオーラが漂っているもの
「いいスカウトメールをゲットするコツはキャリアシートをこまめに更新すること。これにつきます」

【注5】プロ
「職務経歴書の書き方を詳しく教えてくれたのは、年配のコンサルタントでした。彼らの中には、一般企業の人事、管理職など人を採る側、使う側で経験を積んだ人が多かったんです」
実践的で効果的な指南は、長年職務経歴書を見る側にいたコンサルタントならでは。そんな経験をとおして、職務経歴書とは常に見る側に立って作るべきという視点が身に付いた

【注6】コンサルタントに会い
「プレ面接だと思って、身だしなみ、話し方など気を配りました。寒い時期はブーツを履くのですが、そのままでは失礼かと思い、コンサルタントに会う前に、パンプスなどに履き変えたりしてました」

【注7】「新着求人情報」メール
【人材バンクネット】にユーザー登録すれば業種、職種、勤務地など、希望条件に見合った新着求人情報が週に一度自動配信される


【注8】佐藤いづみコンサルタント

「頭の回転が速い方で、かつ女性ならではのきめ細かい気配りを企業にも私にもしていただきました。おかげで何もかも安心してお任せできました。また、私の適性やスキルを瞬時につかみ、企業にアピールしてくれました。内定をいただけたのは、ひとえに彼女のコンサルタントとしての高いスキルのおかげだと思います」

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