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TOP の中の転職研究室 の中のあの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意 の中の第7回もう成長止まっちゃった? どうすればいい?30代の停滞感[講師:小杉 俊哉氏]

あの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意
これからはエイジレス・キャリアの時代です もう成長が止まっちゃったのか……どうすればいい?30代の停滞感  
目標に向かって一直線に走ってきた20代。それなりの仕事力もついたけど、30代に入ったら一気にペースダウン。この停滞感、どうにかしたい。小杉氏は、考え方や行動をちょっと変えれば、停滞感から抜け出して楽しく働ける人になれると言うのだが……。
K
小杉 俊哉氏
最近なんとなく停滞ムード
そんな自分に納得できない!
 
—— 私、今32歳なんですが、なんだか最近、仕事が面白くないんですよね。20代の頃は「早く一人前になりたい!」とか「あの人のようになりたい!」という目標がはっきりしていて、自分がどんどん成長している実感があったんですけど、最近はなんとなく停滞ぎみ。以前と比べると必死さがなくなったというか、マッタリしてきたというか。で、そんなマッタリしている自分に、納得できない自分がいるんです。
K  
ハナコさんは、今の会社に入社してどれくらいですか?
—— 新卒で入社したので、今年でちょうど10年目になります。
K  
なるほど。10年間がむしゃらに頑張ってきて、ここにきてやっと自分のペースで仕事ができるようになってきたわけだ。となると、年齢的にも、環境的にも、ちょうど停滞感が出始める頃ですね。人間、同じことを長く続けていると必ず停滞するもの。それは仕方のないことだし、ハナコさんがダメになったというわけではないんですよ。
—— でも、私はこのままずっとマッタリしていたくないんです。先輩は「そういう年齢なんだよ。カラダだってもう無理が利かないんだし」と諦めムードだけど、そんなの絶対にイヤ! 小杉さん、この停滞感から抜け出すための方法を教えてください!
 
キャリアの見通しが立たない時代だからこそ
ラッキーを呼び込むことが、必要だった
 
K  
まずは、「自分ってどういう人間なんだ」「大切にしている価値観ってなんだろう」「どんなことなら自然に力がわいてくるんだろう」「どんな働き方が好きなんだろう」など、自分を知ることが大切です。停滞しているという人のほとんどが、実は「自分についてわかっていない」んです。自分を知るための方法は、いろんな人が提案してるし、僕も『キャリア・コンピタンシー』という本にまとめてあります。いずれかの方法で、自分をとことん分析してみるといいですよ。

もうひとつ、提案があるんです。ハナコさんが停滞感から抜け出したいのは、楽しく、生き生きと働きたいからですよね? だったら簡単です。ハナコさんが「ラッキーをつかめる人」になればいいんです。

—— え? ラッキー……ですか? キャリアとは関係ない気がするんですけど。
K  
そんなことないですよ。というのはね、キャリア理論の中に「いかにして偶然やラッキーを作り出すかを考え、行動しなさい」というものがあるんです。実はキャリアって、3年後にこうなって、10年後にはこうなって……と目標達成的に計画して積み上げていけるものではなく、ほとんどの人は偶然の積み重ねによって、今に至っているだけなんです。

僕は今、人事コンサルタントとして企業で研修を行ったり、助教授として大学に所属していますが、これだって「やってみない?」といわれたこと(偶然舞い込んだチャンス)に手を出し、やれるとこまでやり抜く、を繰り返した結果なだけなんです。

—— でも、それこそ小杉さんがたまたまラッキーだっただけでしょ。そんなの偶然の産物だし、自分でどうこうできないじゃないですか!
K  
ラッキーが偶然の産物だなんて、とんでもない。自分の意思、働きかけで「起こす」ことができるんです。つまり、ラッキーになるような考え方、行動が、ちゃんとあるということ。考え方や行動を少し変えてみるだけで、たくさんのラッキーが連続して起こるようになる。

今は変化が激しく、「"このスキル"なり"この資格"を身につけておけば、将来も大丈夫」といった見通しがまったく立たない時代。だからこそ、予期せぬ偶然やラッキーが舞い込むように働きかけ、チャンスが訪れたときにしっかりとつかんでいくことが、大切なんです。またそうすることで、結果的に、停滞しないで楽しく働き続けられるんです。

—— ほ、本当ですか? だったら知りたい! どうすれば私はラッキーな人になれるんですか? 今すぐできること、教えてください!
つまらない顔、していませんか?
 
K  
では早速ですが……ハナコさんは普段、つまらなさそうな顔をして仕事をしていませんか?
—— え? 顏ですか? うーん、最近は自分にイライラすることが多いから、つまらなさそうな顔をしているかも。
K  
それじゃあラッキーな人にはなれませんよ。つまらなさそうな顔をしている人には、決してラッキーはやってこないから。ラッキーを呼び込みたかったら、ちょっと無理してでも嬉しそうな顏、楽しそうな顔をすること。すると不思議と、本当に嬉しい気持ち、楽しい気持ちになってくるものなんです。

そういう気持ちは周りの人にも伝わり、人間関係に良い影響を与え、ラッキーを呼び込みます。まずは口角を上げてニコッ! ラッキーをつかむための第一歩です。とにかく騙されたと思って実行してください。

決めたことを1カ月やってみる
小さなことでも、自信につながる
 
K  
他にもすぐ始められることはたくさんありますよ。たとえば、意識して人を褒めてみるとか、出勤前に読書の時間を作るとか。
—— え〜、なんか拍子抜けするくらい簡単なことですね。しかもそれって、ラッキーとあまり関係ないような気がするんですけど。
K  
それが関係あるんですよ。なぜなら、多くの場合、ラッキーは人を介してやってくるから。
—— なるほど、「人を介してやってくる」のか。確かになあ、メモメモ。
K  
たとえば人を褒めてみる。毎日、意識してやっているうちに、数日も経つと周りの人から「ハナコさん、なんか最近、変わったね」と言われるようになります。

他人を変えるのは大変だけど、自分を変えるのは簡単ですよね? 自分が変われば、他人も変わる。他人がラッキーを運んできてくれるようになるんです。というのも、ハナコさんの変化を感じた周りの人が、次第にハナコさんを助けたり、大事な仕事を任せたり、一緒に働きたいと思ってくれるようになるから。そうなったらもう、ラッキーの連鎖です。

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—— そうかぁ。「一緒に仕事がしたい」とか「手助けしてあげたい」と思うか思わないかって、相手の雰囲気にかなり影響されますもんね。でも、小杉さん、読書はプライベートなことだから、仕事とは関係ないんじゃないですか?
K  
いえいえ。毎朝30分の時間を捻出して、1カ月間、本を読み続けてみてください。これって意外に大変ですよね? 今までは「忙しいから読めない」と言い訳していた人が、もし読み続けることができたら、1カ月後には「やればできる!」になると思いませんか? 

この「やればできる!」と思えることは、とても大事なことなんです。新しい仕事や困難に直面したとき「自分には無理だ」と思うのと、「やればできる!」と思うのとでは、同じ能力を持っていても、発揮のされ方が大きく変わってくる。小さな「やればできる」を積み重ねることで、内なる「やればできる!」という自信がつくようになります。

周りの人もハナコさんのラッキーの影響を受け、それまで停滞していた職場の空気が一変し、ラッキーなことが起こりやすくなるんです。

ね? ちょっとしたことが、ラッキーを呼び寄せるんです。挑戦してみることは何でもいい。お洒落に気を遣ってみるとか、相手の目をきちんと見て話すとか……。まずは1カ月で何か1つ、決めたことをやり続けてください。その小さな1歩が、自分に自信を与えてくれ、周りにも良い影響を広げ、ラッキーを呼び込むためのきっかけになります。

—— 自分の小さな変化が周りに与える影響って、意外と大きいんですね。まさに「小さなことからコツコツと」なんだ!
K  
そうなんです。ハナコさんも早速今日から頑張って、ラッキーに備えてください。次回は、積極的にラッキーを呼び込むためにはどうするかについてお話しましょう。
 
講師:小杉 俊哉氏
大学卒業後、日本電気(NEC)に入社し、30歳のとき私費でMBA留学を決意。マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院修士課程修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ユニデン人事総務部長、アップルコンピュータ人事総務本部長を経て独立。現在、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教授およびコーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム代表取締役社長を務める。専門は、人事・組織、リーダーシップ、人材開発、キャリア。
この本を3名様にプレゼント
『ラッキーをつかみ取る技術』
(小杉俊哉/光文社新書)
 

多くの人がキャリアに不安を持つ時代だからこそ、実は「ラッキーを呼び込む」ことが大切だ。「あの人ってラッキーだよね」と思う人には、ラッキーが起こるべくして起こっているのだった。彼らに共通する考え方、行動を知り、それを習慣にしてしまえば、誰でもラッキーをつかみ取ることができる。その「技術」について、今すぐできる小さな変革から「やればできる!」マインドになる変革までを、わかりやすく紹介した1冊。

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『キャリア・コンピタンシー』(小杉俊哉/日本能率マネジメントセンター)
仕事やキャリアに満足できるかどうか。その答えを探すため鍵は、9つのキャリア・コンピタンシー(物事に対する取り組み姿勢、行動特性など)にある。「自己認識」や「ビジョン」など、9つのキャリア・コンピタンシーを挙げながら、キャリアデザインのヒントを紹介。
『組織に頼らず生きる』(小杉俊哉・神山典士共著/平凡社新書)
清原和博、中田英寿、古館伊知郎らの今の時代のキャリアモデルたちのストーリーを紐解きながら、彼らがなぜ人より抜きん出た力を発揮することができるのかを解説。組織所属していようがいまいが、これからは「自立の時代」だと説く一冊。
生徒:ハナコ
32歳。目標に向かって突き進んでいた20代に比べると、最近なんとなく停滞ぎみ。昔のように熱くなれない自分が嫌なのに、具体的なアクションを起こすことができず、悶々としている。

 

photo 小杉 俊哉氏から学んだ胸に刻んでおきたい3つのこと
1
チャンスとなる偶然(ラッキー)を引き寄せるのが、キャリアデザインのコツ
2
つまらない顔にはラッキーはやってこない。意識して口角を上げ、笑顔から
3
自分が変われば他人も変わる。1カ月に何か1つ、決めたことをやり続けてみる

TOP の中の転職研究室 の中のあの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意 の中の第7回もう成長止まっちゃった? どうすればいい?30代の停滞感[講師:小杉 俊哉氏]