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幸せなキャリアを築くための、人材バンクの賢い使い方
転職は「目的」ではなく「手段」 まずは自分の価値軸を見つけよう
人材バンクを利用する転職と、直接応募する転職との最大の違いは、コンサルタントの存在の有無。しかしコンサルタントと一口に言ってもいろんなタイプがいる。自分に合うコンサルタントとの出会いで運命が決まるといっても過言ではないのだ。その見分け方とは──?
Y
山本 直治氏
紹介転職ならではのメリット
 
―― 前回で転職活動をする前の心得の重要性がわかりました。今回は人材バンクについて教えてください。人材バンクって、どういうものなのですか?
 
 
Y  

「結婚相談所のようなもの」というのが一番分かりやすく、イメージしやすいかもしれませんね。転職を希望している人と、採用したい企業の双方から情報を集め(=好みや条件を聞き)、お見合い(=面接)の機会を設け、結婚(=入社)までの一連のサポートをするといった感じです。ただ、結婚相談所と違うのは、転職者側は完全に無料。企業側も入社が成立しないかぎり、紹介料は支払わなくていいのです。

 
―― なるほど。なんとなくイメージがわいてきました。「転職は結婚と似てる」なんてよく言いますもんね。やっぱり、私がこれまで2度経験した、インターネットや雑誌で企業の求人情報を見て直接応募するやり方に比べ、人材バンクを利用した方が成功する可能性は高いのでしょうか?
 
Y  

いや、それは一概には言えません。直接転職でも成功している人はいますからね。ただ、ひとつ言えるのは、ミスマッチのリスクを軽減できる可能性は高いということです。インターネット上や雑誌、新聞などに掲載されている求人情報の場合、原稿作成のイニシアティブ(主導権)は当然ながら求人企業側が握っているので、通常は企業側にとって都合のいい内容になっています。仕事内容、勤務地、会社の雰囲気、年収など、入社してみると「求人情報や面接での話と違う」といったケースも珍しくありません。

 
―― 私の場合もまさにそうなんですよ! 求人情報では「新規事業立ち上げのための募集」なんて言ってたから応募したのに、いざ入社してみるといつまでたっても新規事業は立ち上がらず、おまけに年収も当初の話よりも2割くらい低いし。
 
Y  

よく聞く話ですよね。掲載媒体にもよるようですが、信頼性の低い媒体だと広告内容を厳正にチェックしませんから。しかもそういう媒体ほど転職後のトラブルには対応してくれませんしね。

その点、多くの人材バンク、少なくとも私は企業から募集背景、欲しい人材像、仕事内容、条件、会社の雰囲気などを徹底的にヒアリングするので、入社してから「話が違う」となることは、よほどのことがない限りありません。こういったミスマッチのリスクを軽減できる点がまずひとつの大きなメリットです。特に応募する企業と付き合いが長く、これまで何人も紹介実績のあるコンサルタントは、その企業の意向や、よい点も悪い点も知り尽くしている場合が多いので、もたらされる情報の正確度は高いといえるでしょうね。

 
 
―― なるほど〜。特に会社の雰囲気などは求人情報だけでは絶対わかりませんからね。だけど、一般的な人材バンクのコンサルタントって、そこまで募集企業のことを知り尽くしているものなんですか?
 
Y  

こういっては身もふたもないですが、コンサルタントによります。転職希望者の人生の一大事だからと、使命感と情熱をもって仕事に取り組むコンサルタントなら、忙しい中でも転職希望者のこだわるポイントに関して企業に電話で問い合わせたり、独自の調査をしたりしますが、中にはネットで条件検索したものをただ転送しているだけという人もいます。

自分に合うコンサルタントを見つけるためには
 
―― うーん、後者のようなコンサルタントに当たったら最悪ですね……。前者のようなコンサルタントはどうやって見つければよいのでしょうか? もちろん多くのコンサルタントに会えば確率は上がると思いますが……。
Y  

確率論としては確かにそうかもしれませんが、私はできるだけ多くのコンサルタントに会うという方法はお勧めしませんね。何人ものコンサルタントに会うと同じ話を繰り返すことになるので、たぶん自分に合うコンサルタントを見つける前に相当疲れてしまうでしょう。たとえ良い出会いがあっても、面談自体がマンネリ化してしまっていると、出会いを生かしきれない可能性だってありますから。

―― 多くのコンサルタントに会えばいいというものでもないんですね。ではよいコンサルタントの見分け方のコツみたいなものってありますか? 
 
Y  

【人材バンクネット】を使う場合を例に取ると、たいていの利用者は匿名スカウト機能を使いますよね。まずはキャリアシートを匿名公開して、コンサルタントからのスカウトメールを待つ。その届いたスカウトメールで、まずはある程度選別できます。

ただテンプレートを少しカスタマイズしたような、抽象的なことしか書いておらず、誰にでも送っているだろうなと感じられるコンサルタントへの返信は見送ってもいいと思います。

人間対人間なので、相性の問題もあるでしょうが、私はスカウトメールにコンサルタントの魂が宿ると考えています。だから私の場合、スカウトメールを送る際はテンプレートをカスタマイズするのではなく、その人のキャリアシートを熟読して、希望や意向を把握した上で、最初から本論をズバリ書きます。そこで「独特な切り口だな」と反応する人も、逆に引いてしまう人もいるでしょうけど、それが相性だと思います。

 

これはほんの一例ですが、要は自分のために親身になって考えてくれていると感じられるスカウトメール、または心に訴えかけられるようなスカウトメールが来たら会う価値はあるでしょう。その基準は人それぞれでしょうが。

第一印象が大事
 
―― わかりました! スカウトメールが届いたら、ちゃんと私のキャリアシートを読み込んだ上で、私だけに送ってきているかどうか、よく読んでみます。では、面談時に判断する基準ってありますか?
Y  

人当たりや物腰、話してみた感じの第一印象など、人としての相性がまずありますよね。これはコンサルタントに限らず、普段の人間関係でも同じです。私は公務員時代、採用面接を経験したことがあるんですが、不思議と最初の30秒くらいで「一緒に仕事したいな」とか「この人とはうまくやっていけるな」と感じるものなんです。これは誰もが感じられるものだと思います。

もうひとつ例を挙げるとすれば、友達と一緒に買い物に行っても、結果的に何も買わない場合もありますよね。でもそんなとき、一緒に行った友達に「何も買わなかったのに付き合わせちゃって悪かったな」なんて変に気兼ねしないような関係がいい関係だと思うんですね。

 
 
 

コンサルタントとの関係も同じで、紹介された求人を断るときでもあまり気兼ねを感じないようであれば、いいコンサルタントだと思います。それは冷静な判断を鈍らせないためでもあるんです。余計なストレスをかけさせないのがよい関係、よいコンサルタントと言えるんじゃないでしょうか。あとは、いいことも悪いことも包み隠さず真摯に答えてくれるかどうかでしょうね。

 
―― なるほど〜。コンサルタントと面談する際は、こういう点に留意しようと思います。では、逆に「こんなコンサルタントには要注意」というタイプを教えてください。
 
Y  

わかりました。では次回でお話しましょう。

 
講師:山本直治氏

1974年長野県生まれ。中央大学法学部、同大学院修了後、国家公務員採用J種試験(法律職)に合格し、旧文部省へ入省。キャリア官僚として6年間勤務した後、2005年に「公務員から民間への転職支援ビジネス」に挑戦するため人材紹介業界に飛び込む。IT・ハードウェア業界専門の人材バンクを経て、2006年、ロード・インターナショナルに転職。現在は同社シニアコンサルタント。

日本初の公務員向け転職支援サイト「公務員からの転職支援 役人廃業.com」を主宰。

この本がおすすめ!
『人材コンサルタントに騙されるな!』(山本直治/PHP研究所)
『人材コンサルタントに騙されるな!』
(山本直治/PHP研究所)
 

官庁という違いすぎる業界から転身した山本氏だからこそ書ける人材紹介業界の真実が満載。人材バンクを利用した転職のメリット・デメリットが本音で書かれてあるので、人材バンクに興味のある人、これから人材バンクを利用してみようかなと思っている人、過去に利用して失敗した人などにおすすめの一冊。

生徒:吉田育夫
中堅建設機器メーカーに勤める33歳。これまで企業の求人に直接応募する方法で3度転職したが、いずれも失敗だと感じ、現在も転職を考え中。人材バンクに興味をもってはいるが、実情がわからないため踏み出せないでいる。
photo 山本直治氏から学んだ胸に刻んでおきたい3つのこと
1
どこまで親身になってくれるかは、コンサルタントによって大きく異なる
2
心に響くスカウトメールに反応すべし
3
余計なストレスを感じさせないのがいいコンサルタント
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構成/山下久猛
協力/岡野吉成
写真/mikico
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