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TOP の中の転職研究室 の中のあの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意 の中の第3回5年後のビジョンが描けない私って「安い人」!?[講師:キャメル・ヤマモト氏]

あの本を書いたあの人が教える キャリアの極意
第3回 幸せに稼ぐ人になるためのヒント 5年後のビジョンが描けない私って、「安い人」!?
「5年後の自分のビジョンを持っていたほうがいい」と聞くけれど、これがなかなか難しい。「ビジョンなんて、ムリして描く必要ないですよ」との答えがキャメル氏から返ってきた。「幸せに稼ぐ人になるためのヒント」の最終回は、自分らしいキャリアについて聞いた
キャメル・ヤマモト氏
将来のビジョンなんて、無理して描く必要なし
 
—— よく5年後、10年後のビジョンを描くといいと聞きますよね。でも、描けた試しがない私って、やっぱり安い人決定?
「自然にビジョンが見える」と「無理して思い描く」では、ぜんぜん意味が違います。確かに「将来のビジョンがあったから、大成できた」という人はいます。でもそれはきっと、素直に自然にその人にはビジョンが見えたんですよ。

未来を無理やり思い描こうとするのではなくて、ここでもやっぱり「過去にやってきたこと」の中で自分がどう出ていたかを見ていくことが大事です。「人間は潜在能力の塊だ」というのが僕の考えで、過去にやってきたこととは、その能力の一部分が現われているに過ぎない。つまり、やってきたことの中に自分を生かすヒントを探せば、そこには可能性がいっぱいあるわけです。
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  自分の中にある可能性の芽って、どんなものなのか。まずここを押える。そして、仕事で磨く。面白がりながら、楽しんで、得意なことで仕事に没頭していけば、興味はどんどん広がっていき、事柄や人にも自然に出会える。自分のやりたいことって、その中から出てくるものだと思うんです。

シリコンバレーで、あるインド人のITコンサルティング会社の技術ディレクターに人事アセスメントの仕事でインタビューをしました。そのとき彼はこういった。「やりたいこととは、『自分はこれをやるために世に出てきたんだ』くらいに思えることだ」と。ああなりたい、こうなりたいという憧れとはちょっと違って、「これをやるしかない」と自然に自分の内側から出てくるようなこと。ビジョンって、こうなって初めて見えるものなんじゃないかな。
—— (沈黙)。これまでビジョンという言葉、軽く使っていた気がしてきました。ホンモノのビジョンって、もっと圧倒的に内側から湧き上がってくるものだったんですね。果たして、生きてる間に見えるのだろうか。
別に無理して見よう、描こうとする必要はないですよ。自分の軸をしっかり持って仕事や生活をしていけば、十分豊かになれると思っています。
シンプルな原点は、自分の羅針盤
 
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僕自身、「これだ! というテーマを見つけたうえで事業をつくっていきたいなあ」と思って探しているんです。でも一方で、「自分の原点に触れることをつづけられれば、得るものはいっぱいあるし、それでもいいかあ」との思いもある。

その原点とは、「グローバル」と「体感知」。そもそも学生時代に「海外に出てみたいなあ」と思って外務省に入った。コンサルタントになった今もシリコンバレーや中国で仕事して、やっぱり「海外」に関係している。もうひとつ「体感知」は、社会人になったときからずっと磨きつづけていきたいなあとやってきたことで、今度本を書こうと思っている。

結局はシンプルな原点が、今、自分の寄って立つところになっているんですね。
—— いわれてみれば私の原点って、小学生のころニュースで見た「カンボジア難民を診ているお医者さん」かも。「誰かの役に立つこと、したいなあ。広い世界に触れたいなあ。冒険がしたいなあ」って。海外駐在してないけど、編集者ってコロコロ変わるテーマを追いかけられる=広い世界だし、「できるだけ役に立つ記事書こう」が頑張るためのエネルギーになってるし。あとは、冒険だ!
どんな仕事でも大変なことはいっぱいある。「どうして俺がこんなことしなくちゃいけないんだ」と思うこともしばしば起こる。でも、自分の寄って立つところがわかっていれば、「自分の原点に触れる仕事だからなあ」とめげることなくつづけられる。

まずはみなさん、仕事の中で、得意なことや面白くできることをどんどん磨きながら、仕事を自分らしいやり方に染めていってください。だんだんと「やらされてやっている」から「自分でコントロールしてやっている」へ変えていけると思います。仕事に没頭していると、ふと、「あ、これやってみたい」が出てくるかもしれない。やりたいこととは、「探そう、見つけよう」と思っているときよりも、知らず知らずのうちに没頭していた体験の中から、出てくるものなんですよ。
—— 自分らしく成長・発展していくための具体的な処方箋が、得意なこと、面白くできることキーワードの発見。道に迷わないための羅針盤が原点ってことなのかな。最近、私、遭難しかかっていたからなあ。ひさしぶりに、原点、思い出しました。
自分らしさを大切に仕事すれば、
精神的に稼げる人になる
 
—— で、元気出たのはいいけど、やっぱり不安、「稼がなきゃ」問題。ホントに、自分の軸・原点をもとに仕事してれば、「幸せに稼ぐ人」になれるんですか?
断言はできないけど、こうなるんじゃないかなと思っています。日本経済全体をみると、「他の人でもできること」はどんどん値が下がっていく。現時点で「これが有望」とされている仕事でも、みんながやり始めてできるようになると、価値は下がる。結局ね、「お金を稼ぐ」という面は、市場に左右される。自分ではコントロールできないものなんです。

だったらコントロールできること、つまり自分らしさを仕事に取り込んだほうがいいと思うんです。キャリアを自分のものにするためにも。自分らしいやり方で仕事をしていくうちに、自分だからできること=オリジナリティが確立できれば、「稼げる人」になるかもしれないしね。

もし、なれなかったとしても自分らしく、得意なことを面白がってやれていれば、それは豊かさに繋がると考えているんです。
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—— 「お金を稼げるようにならなくっちゃ」とやきもきしても、心臓に悪いだけかもしれないな。それに、お金じゃ人生買えないし……。「楽しく精神的に稼ぐ人」になれるよう日々を送ってみたいと思います。
 
講師:キャメル・ヤマモト氏
東京生まれ。東京大学卒業後、外務省入省。エジプト、イギリス、サウジアラビアの各国に勤務した経験を持つ。その後外資系人事コンサルティング会社にキャリアチェンジ。現在、ワトソンワイアットにて人材・組織コンサルタント。シリコンバレー、東京、上海で主に人材・組織改革の面から多くの企業のコンサルティングをしてきた。現在は、上海と東京を行き交う日々を送っている。
『クビ!になる人の共通点』 『クビ!になる人の共通点』
(キャメル・ヤマモト/幻冬舎)
 
実は「いったんは、余る人にならないと始まらない」という余る人賛歌本でもある。余る人が具体的な工夫次第で、クビを回避するだけでなく、幸せに稼ぐ人になれると説く。オンリーワンを築くための「自分の軸の見つけ方」も詳しく解説。「自分はまだ余っていない」という人も、キャリアについて考えたいなら一読の価値あり。
右:『稼ぐ人・安い人・余る人』左:『コツコツ働いても年収300万 好きな事だけして年収1000万』
右:『稼ぐ人・安い人・余る人』 
左:『コツコツ働いても年収300万 好きな事だけして年収1000万』
(キャメル・ヤマモト/幻冬舎)
 
自分の軸がはっきりあり、「これを実現したい」との高い志を持つ人は、『稼ぐ人〜』がオススメ。ヤマモト氏がシリコンバレーにいた時期、多くの起業家たちに刺激を受け、事業を生み出すトップ人材になるための開発法を展開した一冊だ。
生徒:中村ヤンズ
「生活かかってますから」が口グセの34歳・女。
年収200万円台の癒し系な連れあいアリ。「そこそこ稼ぐ人にならねば」との使命感と「やりたいことだけ極める人生」への憧れとのハザマで揺れている。
キャメル・ヤマモト氏から学んだ胸に刻んでおきたい3つのこと
本物のビジョンとは、圧倒的な自然さで自分の内側から出てくるもの
迷ったときには、シンプルな原点を思い出してみる
自分らしさを持ちつづけることが、幸せに稼ぐ人への道

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