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62年生まれ。(株)リクルートに入社し1年目でトップセールスに。日々の営業活動で売る力をはじめ、さまざまなスキルを身につけた。91年米国留学し、MBAを取得。現在、マーケティング・コンサルティング、オーダーメイド企業研修などを行っている

精神的に大きなプレッシャーを抱えながら頑張っている営業パーソンたち。「数字は達成したけれど、本当にこの仕事をしていて何になるのだろう」という焦りや虚しさに襲われることも少なくない。しかし、営業こそが自分を成長させるには、うってつけの仕事だったのだ。大塚寿氏に、スランプ脱出法から営業でのキャリアの伸ばし方まで教えてもらった

相談者Aさん
24歳/入社2年目
求人広告営業

昨年、新人にして入社10年の先輩を越える売上を達成した後、スランプに。なんとなく不完全燃焼感を抱えている
相談者Bさん
25歳/入社3年目
商社営業

商社の重厚長大産業部門の営業担当。大きなプロジェクトにやりがいを感じる一方、日々達成感を味わえる仕事にも惹かれ、悩み中




Part 1
 数字だけを追い求めたら、仕事のやりがいを見失った
■段階的な目標設定が、成長のカギ
■効力感こそ営業の原動力
■自分軸で「どう成長するか」を考え、スランプ脱出

Part 2
 大きなプロジェクトの一員。成果がダイレクトに感じられない
■自分を活かす道を再考しよう
■全く別のフィールドへの転職、ホントに難しいの?
Part 3
 営業力を深めるとは?
■量をこなして質に転換できたら「初段」
■新人のうちは、とにかくギブ&ギブ
■お客様の身内になれ

Part 3
 営業力を深めるとは?


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Aさん 日々の仕事の中で、営業マンとしての成長を感じてはいますが、もっと営業力を深めたいとも思っているんです。

大塚氏 営業とは、科学と武道を掛け合わせたようなものだと私は考えているんです。一つひとつの原理・原則や体系は科学的な法則性を持っているし、心技体に重きをなす武道の要素も色濃くある。武道には段があって訓練によってレベルが上がっていくけれど、営業も同じだと思いますよ。

Aさん おもしろいですね。

大塚氏 Aさんのようにひらすら電話をかけて顧客をつかんできた人は、量をこなすことによってコツをつかみ、質の高い営業が身についてきた段階。初段といったところじゃないかな。二段ならクロージングをためらうことなくその日にできる、三段となれば、初対面でも売れるというところでしょうか。商談の場で顧客が主導権を握っているように錯覚させつつ、本当は自分が場をコントロールできるようになれば、四段といってもいいでしょうね。そして、最終的には顧客の期待を超えるというところを目指さなくてはいけないですね。


Bさん 顧客の期待を超える、とはどういう意味なんでしょう?

大塚氏 今は顧客自身が何がほしいのかわからない時代。昔は「こういうものを作れる?」「こういうものできるかな?」という具合に顧客のほうから宿題をくれた。今はお客さん自身がほしいものがわかっていないのだから、営業のしようがない。そんなときは顧客の取引先企業やエンドユーザーにまで思いをめぐらせて、できることを提案していかなきゃいけない。

Aさん お客さまの立場に立つということですか。

大塚氏 顧客の立場に立つ、なんてことは競合他社にもできる。顧客を驚かせ、いいなと思わせ、感謝させる。これが顧客の期待を超えるということであり、営業の本質だね。

Bさん 大塚さんは顧客の期待を超えるためにどんな努力をなさったんですか。

大塚氏 営業は準備で決まるんです。顧客に関心を持って、何に困っているか、何を知りたがっているか、いろいろなことを調べ上げた。訪問するときには、必ず相手にとって得になる情報をおみやげとして持って行った。お客さんに会ってもらうには、相手にとって自分が有益な人間にならないといけないから。そうすれば信頼も得られるし、自分だっていろんなことを覚えられる。自分を売り込む、なんておこがましい意識はない。新人のうちはとにかくギブ&ギブ。一生は無理でも1年くらいなら我慢できるでしょう?



Aさん でも、顧客がほしいと思うことを察するのは難しいですよね。

大塚氏 相手の立場に立つのではなく「顧客の身内になれ」ということです。言葉の使い方一つとってもそう。相手の業界用語、社内用語を使う。顧客が「あれ、大塚ってうちの人間だったっけ?」と錯覚するくらい、相手の論理で物事を進める。いつの間にか、顧客よりもその会社・部署のことを考え、詳しくなるくらいを目指すんです。
それから、自分が接している担当者の背景にまで思いをめぐらせる。(★6)感情移入する力も必要なんだよね。これは広い意味でのコミュニケーション力ともいえるかな。相手が求めていること、望んでいることを察し、相手が感じているのと同じように感じ取る力です。



感情移入する力
公の自分と個としての自分は切り離そうと思っても切り離せないもの。ビジネスライクにやっていく場面も必要だが、相手の背景まで考え同じような思いになれる力、心の機微を感じ取る力は意外に重要
Bさん たとえば、どんなふうにですか。

大塚氏 定年間近の次長がいるとして、たぶん社内では出世争いでは破れているんだろうけど、なにか自分が生きた証を残したいと思っていそうだなぁと感じたとしますよね。それなら彼が「これが、俺のこの会社にいた証なんだ」というものを残せる配慮をしてあげる。そんなことです。
Aさん なるほどなぁ。大塚さんが顧客の期待を超えられるようになったのはどうしてでしょう。
大塚氏 そうですねぇ、結局は先輩の言うことを素直に聞けたから、じゃないかな。「営業とはこういうものだ」と叩き込まれて、バカ正直にそれをやっただけ。素直に言うことを聞くヤツって先輩から見たらかわいいじゃないですか。だから私もかなりかわいがってもらったし、何でも教えてもらいましたよ。
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Text:Youmi You Photo:Shunsei Takei

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