クリエイティブ職に特化しているのが最大の特徴

地下鉄「西梅田」駅を上がってすぐ。名だたる会社がオフィスビルを構えるオフィス街、堂島の一角に株式会社エキスパートスタッフの関西支社があります。関西の責任者である鈴木さんを筆頭に、キャリアアドバイザーである高橋さん、日野さんの３人が調査隊を迎えてくれました。

「東京で設立されたのが1987年。ある財団法人から、出版部門をアウトソーシングで請け負ったのが始まりです。その中で、印刷会社や出版社、新聞社などとのおつきあいが始まりまして。派遣法の改正も追い風になって、いっきにクリエイティブ職の派遣ニーズが高まったんです」（鈴木さん）

その後、1992年に関西に進出。全くゼロからのスタートでしたが、今では取引先は数百社を超えます。

「印刷会社、制作会社、広告代理店、デザイン事務所など、大手から中小、個人経営まで規模はさまざまです。クリエイティブ職の場合、『大手だから良い』というわけではありません。スタッフさんの志向をしっかりと汲み取って、ご紹介していくことが重要になってきます」（鈴木さん）

現在、最も多いのはDTPデザイナー。次いで、DTPオペレーター、ディレクター、編集・校正…と続きます。しかし、時代は紙媒体からWEBへ。クリエイティブ職に求められるものも大きく変化しているといいます。

「正社員のニーズが、グッと増えていますね。派遣の需要が目減りしているわけではないのですが、『良い人材がいれば、正社員で採用したい』という企業は確実に増えている。特に、仕事全体を見渡せるディレクターやプランナーを探しているところは多いですよ」（日野さん）

これまで派遣会社として培ってきたノウハウを、今後は紹介予定派遣にも活かしていきたいという同社。アパレルや映像関連、メーカー、ゲーム…と、これまでよりも幅広い業界に力を入れていくそうです。

ミスマッチを防ぐため、ヒアリングは徹底して

株式会社エキスパートスタッフが重点を置いているのが、企業へのヒアリング。「どんな人材が、どんな働き方を求められているのか」を、細部まで企業と共有することが必要だといいます。

「企業のオーダーを、そのまま鵜呑みにするのではなく、何度も細かく打ち合わせます。企業の中でも、人材観がおぼろげである場合が多いんですね。私たちのほうで、『例えばこんな人はどうですか？』と、その人材観を顕在化していくことが大切なんです」（鈴木さん）

――クリエイティブ職に就いている人は、やりたいこと、作りたいものが明確である場合が多ですよね。入社後、ほんの小さな「ズレ」が、大きな「ひずみ」になってしまう可能性もあるのでは。

「クリエイターにとっては、残業の度合いや、使うソフトのバージョンといった環境面もとても重要。小さなことでも見逃さないように、細心の注意をはらっています」（鈴木さん）

――御社は特に営業とコーディネーターのチームワークがすばらしいと伺っていますが。

「関西支社は、全部で10名ほどの小さな組織です。その上、営業とコーディネーターは、わざと席を近くしてある（笑）。毎日絶対に顔を合わせますし、話しもします。この距離感での情報共有が、チームワークの秘訣ですね」（鈴木さん）

配属される部署は何人で、上司はどんな人で、残業はどれくらいで、繁忙期はいつで…。営業は、企業情報をコーディネーターに伝える。今日登録に来た方は、こんな経験とスキルがあって、こんな仕事を希望していて…。コーディネーターは、登録スタッフの詳細を営業に伝える。

「今、どんな求人ニーズがあるのか。今、どんな人が登録しているのか。営業もコーディネーターも、お互いに把握することで、より早く、希望に沿った仕事紹介が可能になるんです」（鈴木さん）

電話よりも会う、人間としてのスタッフフォロー

「スタッフさんとは、マニュアル的な付き合いをしたくないんですよ」（鈴木さん）

この発言に、大きくうなずく高橋さんと日野さん。

「就業先には、こまめに顔を出します。うちの営業は、スタッフさんに携帯の番号を教えているので、直接連絡が入ることもよくありますよ。泣きそうな声で電話がかかってくることも（笑）」（高橋さん）

そのまま電話で事足りるかもしれないが、同社では、基本的に「会って話す」のが信条。

「なんていうのか、ロボットみたいな感じはイヤなんです。電話で話すのと、会って話すのとでは、大違い。同じことを言うのでも、やっぱり面と向かって話すのがいいと思うんです。人間同士ですから」（鈴木さん）

――親身に接していると、トラブルを早期に発見できたり、新たなキャリアアップの希望を聞き出せたりしそうですね。

「最初の面談でも、言いたいことは、全部言って帰ってもらいたいんです。話し込むうちに、人生相談みたいになってることもあります」（日野さん）

――正直で、良い具合に力が抜けていて。初対面でもオープンに接してくれるみなさんを取材しているうちに、調査隊の心も良い具合にほぐれていきました…。

同社の強み