8月上旬、ある人材バンクから紹介された2社に応募し、一次面接を受けた。
その結果を待つ間に、世間はお盆休みに。石井さんはスケジュールが空いたため、さらにほかの人材バンクの話を聞いてみようかという気持ちになり、スカウトメールをもらっていたコンサルタントに連絡を取った(※2)。
面談に出向くと、ある会計事務所を紹介された。石井さんの経験が生かせるようだったので、興味があると答えると「この近くですから、さっそく話を聞きに行ってみませんか」という話になった。急な提案だったので石井さんはびっくりしたが、実際に会社を見れば雰囲気がわかると思って行ってみることにした。
「社長と役員の方がいて私のキャリアや今後の希望などについて、いろいろと話をしました。従業員は10名ほどで、大きな会社ではないけれど、悪い印象はなかったですね」
その日の晩、石井さんの携帯電話が鳴った。コンサルタントからだった。
「今日、面接した会計事務所ですが、あなたを採用したいと言っています」
「えっ?」
気楽な気持ちで話を聞いただけのはずが、突然の内定通知(※3)だった。あまりの突然の内定通知に驚いた石井さんは「少し考えさせてください」と言うのが精一杯だった。
「私は自分の市場価値に自信がなかったし、きちんと選考を受けたわけでもなかったので、いきなり採用したいと言われて、とまどいました。1日時間をもらって、いろいろと考えました。選考結果を待っている会社に落ちたら、またイチからやり直し。とにかく、少しでも早く転職したかったし、私を認めてくれたことがうれしかった。担当する会社の経理に全般的に関われるので、勉強になることも多いのではないかという期待もあり、思い切って入社することを決めました」
内定の知らせを受けてから、5日後に入社。まさに急展開だった。年収は前職よりも下がったが、交渉の末、試用期間が過ぎてからは月数万円上乗せするということが決まった。前職にはなかった残業代も支給されるため、大きな不満はなかった。 |