もう、二度とこんなつらい思いはしたくない。年齢的にも今回こそ最後の転職にしたい。そう思った滝本さんは、前回の失敗(※1)を踏まえて転職活動をしなければならないと思った。
前回の転職では【人材バンクネット】経由でコンタクトを取った人材バンクを利用して痛い目にあった。しかし、今回の転職でも人材バンクを使おうと思った。なぜなら企業との新しい出会いにその事情をよく知る人から情報を得、アドバイスを受けることがやはり重要だと考えていたからだった。また、前回、大手ソフトウェア会社での面接で、少し誇大に自分を売り込んだことがミスマッチを招いたともいえる。
「だから今回の転職では企業の内部事情をよく知るコンサルタントを探し、等身大の自分を正直に話そうと思っていました」
改めて【人材バンクネット】でキャリアシートを更新し、スカウトを待った。すると30通ほどのスカウトメールが届いたので、十分に吟味した。
「スカウトメールの中には、私の経歴の一部だけを見て、ほとんど機械的に送ってくるものもありました。希望職種と年齢で機械的に処理されたようなメールも多いわけです。確かに、多くの転職希望者は、私のようにクセのある人ではないので、こうした機械的なメールで役に立つ場合も多いのだと思いますが、私の場合は、書類審査は通っても面接で落とされるというように、やや特殊でしたし、もう失敗はしたくはありませんでしたから、応募も慎重に行う必要があります。そこで、私のキャリアシートを隅々まで読んでいただいて、私という個性をある程度理解した上で送っていると思われるスカウトメール(※2)のみに、返信するという方法をとりました」
さらに【人材バンクネット】内で、希望条件に合う人材バンクの絞込み検索をしてみた。前回で失敗しているだけに、今回は求人ではなく、自分にとってよい人材バンクを吟味して選びたかったのだ。1ページから順に閲覧していき、10ページ目で気になる人材バンクを発見、コンタクトをとってみることにした。
「誰でも知っている某大手企業系列の人材バンクだったので、いかがわしい企業は紹介しないだろうという、ただそれだけの理由でした。だから当初はそれほど期待もしてなかったし、可能性を広げるために、前回利用した人材バンクのサブ的に使おうというくらいの気持ちでした」
今の会社に入る際の面接で、自分をやや誇大にアピールしたことで、会社の要求に応えることができなくて苦しんでしまった失敗を繰り返してはならない。そこで、今回はありのままの自分を伝えることを心掛けた。それは、これまで経験してきた仕事について正直に話し、また経理全般がこなせる職務を希望していることを丁寧に伝えることだ。人材バンクのコンサルタントには、今の会社での状況や転職理由も含め、事情を詳細に説明しよう。それでこちらの話を丁寧に聞いてくれる人であれば、その人の意見を慎重に聞くことにしよう。滝本さんはそう考え、その人材バンクのコンサルタントとコンタクトを取り、登録に行くことにした。 |