フィールドエンジニアという仕事が好きで、誠実に仕事をしてきた村田さん。そのことに誇りを持っているものの、客先に出向いて機械を直すという経験しかない自分を、どんな企業が雇ってくれるのか。30代後半という年齢でチャンスがあるものなのか。不安は尽きなかった。実際、登録していた転職サイトからはほとんど反応がなかった。「ひょっとして転職できないのでは」──。不安に駆られることが何度もあった。
もっと動かなければと焦る一方で、いったいどういう基準で会社を選べばいいのか、全く見当がつかず途方に暮れた。
「いくらホームページやパンフレットを熟読したところで、会社は入社してみなければわからない」──。転職と転籍で複数の会社を経験してきた村田さんの持論だ。
そんなとき、2つの人材バンクからスカウトメールが届いた。
メールだけでやりとりすることも可能だったが、村田さんはあくまでも現場主義。「コンサルタントも会ってみなけりゃわからない」と判断し、翌日に面談に向かった(※1)。
知りたいことはただ一つ。「私が応募できる求人はあるのでしょうか?」。村田さんは単刀直入にコンサルタントに聞いた。2件の人材バンクで同じ質問をしてみたが、両方とも答えは同じだった。「大丈夫、ありますよ」。そして実際にいくつかの求人票を見せてくれた。可能性が見えてきたことによって、村田さんの心はすっと軽くなった。
「威勢よく会社の辞令を断ったのはいいけれど、私には妻と小さな子供が2人いますから、できるだけ早く転職先を決めたかったんです。コンサルタントから『大丈夫』という一言を聞いて、なんだかすっきりしましたね。自分に合う会社なんてわからないけれど、彼らに任せておこう、と思いました」
コンサルタントに相談したおかげで、自分の可能性が見えてきた。また、コンサルタントに任せるだけではなく、村田さん自身も努力した。たとえば職務経歴書。転籍が2回という異例の経歴のため、職務経歴書の表記はそれがわかるように工夫した。コンサルタントのアドバイスも参考になった。
「社長賞や表彰を受けたことを含め、やってきた職務内容もわかりやすく記入しました。また、若い人と違ってそれなりの職歴があるのだから、できるだけ多くのことを記入するようにしました。完成した職務経歴書をコンサルタントにほめられて、さらに自信がつきましたね」 |