スカウトメールの内容は、「まずは会ってみたい」だった。もちろん断る理由はない。ただでさえ少ないスカウトメール、わずかな可能性でもつぶすわけにはいかない。すぐに返信してT氏と面談することになった。
望月さんはこれまでの経験で、コンサルタントとの相性(※1)が転職活動を大きく左右すると思っていた。そのため、常に新しいコンサルタントに会うときは緊張する。しかしT氏は「当たり」だと思った。
「Tさんは、慣れた感じでテキパキと仕事を進める感じでしたが、だからといって冷たい感じでもなく、私の話をきちんと聞いて応対してくれました。安心して任せられると思いましたね」
T氏が提示した求人案件は、外資系メーカーの経理職。マネジメント経験も特に必要ない。まさしく望月さんの条件にぴったりだった。もちろん、その場で応募を決めた。
ここからはまさにトントン拍子で事は進んだ。
書類を提出した翌日に早くもT氏から連絡があり、翌週、面接の日取りが決まった。面接も手際よくスムーズに進んだ。
面接官だった経理部のチーフに、在庫管理をしていて、数が合わなくて大変だったこと(※2)などを話すと、チーフの顔が急にほころんだ。
「そうそう、私もずいぶん泣かされましたねえ、とチーフも分かってくれて。Tさんから、この会社は人間関係を大切にする社風だから、チーフと相性が合えば内定を取れる可能性が高いと言われていました。実際、チーフの話を聞いて、先方が望んでいるのは、マネジメント経験といったものではなく、経理業務の経験が豊富で、よりよい関係で仕事ができるパートナーのような人ではないかと感じました。それなら、私でもいけるのではないかと、手応えのようなものを感じました」 |