「経理部にいたので、会社の業績が悪いのがいやでも見えてしまっていました。私の後から入ってくる人もいましたが、すべて派遣社員。これではいずれ正社員にという約束は、まず無理だろうなと思っていました」
しかし、だからといって、すぐに次につながる仕事を見つけることもできず、やむなく毎日の業務をこなしていくしかなかった。契約更改。査定。契約の打ち切り。そんな言葉を常に意識しながら仕事をする日々。ちょっとしたミスくらいでは解雇されないであろう正社員たちをうらやましいと、正直思ってしまう。
そんな中での救いは、以前から登録していた【人材バンクネット】(※1)だった。インターネットにアクセスして自分のメールボックスをチェックする。たったこれだけのことなら、日々仕事をしている中でも簡単にできる。少しでも期待が持てるスカウトメールがくれば、とにかく返信した。応募しても、書類選考の段階で落とされる場合も多かったが、仕事を続けながらの転職活動なので、生活に窮するということはない。
「すぐによい求人案件が来るとは期待していませんでしたが、とにかく負担らしい負担もなく転職活動は続けられていたというわけです。私は派遣社員でしたから、もし辞めようと思えば契約更改時に断るだけで簡単に辞めることができます。つまり、いつどんな求人案件が来ても簡単に対応ができるというわけです。そこで、とにかく気長に、いつかきっといい仕事が見つかるだろう、それまでは今の仕事を精一杯頑張ることにしよう、と思っていました」
年齢も高く、特別なスキルがあるわけでもないとなると、好条件での転職はあり得ない、しかも在職中なら転職活動に割く時間がないからなおさら難しいと、あきらめてしまう人は多いかもしれない。しかし、【人材バンクネット】に登録してキャリアシートを匿名公開した後は、人材バンクのコンサルタントが自分のキャリアを見てくれて、マッチしそうな求人案件を紹介してくれる。まさに「果報は寝て待て」状態で「転職活動」は続けられる。
あまりキャリアに自信がなく、在職中だった望月さんが少ない負担で転職活動を続けられた理由もここにある。そしてその「果報」はついにやってきた。 |