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牧田幸裕のビジネスマンFA宣言

新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。  
チームマネジメントとキャリア形成
 先日、外資系企業向け不動産管理会社のオフィスマネージャーの女性と食事をする機会がありました。彼女はシニアマネージャーとして、複数のオフィスの管理を担当していますが、その中で、「チームとチームの融合が難しい」という話がありました。

 我々が経営コンサルティングの仕事をする際、通常ファームからコンサルタントが数名、クライアント企業の中から担当メンバーが数名出てきてプロジェクトチームを構成します。その中で、実際にプロジェクトを進めていくわけですが、中にはほとんどコミュニケーションをとらず、中間報告と最終報告でしかクライアントのメンバーと話をしないプロジェクトもあります。しかし、得てしてこういうプロジェクトは失敗します。お互いのエクスペクテーション(期待値)が一致しないリスクが大きいからです。

 プロジェクトに対してクライアントが期待することと、我々コンサルタントがアウトプットとして出そうとしていることは、当然プロジェクトの開始時には一応の合意をします。しかし、プロジェクトを進めていくにつれて、それまで事実として前提としていたことが実は事実ではなかったり、その他の要因でアウトプットの方向性を変えていかなければならないケースが多々発生します。

 そういう場合は、必ずクライアントのプロジェクトメンバーとコミュニケーションを取ることが必要になります。その作業を怠る限り、そのプロジェクトは確実に失敗へ向かっていきます。

 僕がプロジェクトマネジメントをする場合、必ず、コンサルタントとクライアントのメンバーをシャッフル(混合)して、クライアントのメンバーにも積極的にプロジェクトに参加してもらいます。最初は、「僕らはフィーを払っているんだぞ。何でお宅らの作業までやらなくちゃいけないんだよー」とクライアントのメンバーから文句を言われます。

 「確かに、我々はフィーを頂いています。でも、最終的に目標とするところは、我々のような外部の人間を使わなくても、きちんとプロジェクトがまわるようにすることですよね。だからこそ、今参加していただいて、プロジェクトマネジメントのノウハウを御社の中に内部化していただきたいのです」と僕は言います。

 このようにチームをシャッフルすることで、当然いろいろなコミュニケーションの問題が発生します。バックグラウンドの違う人間が、またクライアントとサービスプロバイダーが一緒に仕事をするのですから様々な意見の相違が出て、問題が発生します。しかし、これは極めて健全な姿です。

 我々のような外部のコンサルタントを入れる目的は、100枚の綺麗なプレゼンテーションを作ることではありません。コンサルタントと、クライアントのメンバーが意見を交換させることで、新たな視点でプロジェクトに対して知見を入れることができるようにすることが本当の付加価値なのです。

 当然、コミュニケーションには行司役またはナビゲーターが必要で、プロジェクトマネージャーの役割です。そして、日々クライアントとコミュニケーションを取ることでお互いのエクスペクテーション(期待値)にブレは生じなくなります。また、プロジェクトにおける問題の本質もだんだん見えてきます。

 以上より、マネージャーの役割は、異なるチームのお互いの特性を考えつつ融合し、コミュニケーションをマネジし、その上でミッションへ向かい問題を解決していくことだという話を彼女にしました。

 キャリアを形成する上でも同様です。自分とは違うバックグラウンドを持つ人々の意見を聞きながら、自分自身が向かうべき方向性(自分自身の本質)の枠組みを見出していくことが重要です。
ymakita@kairios.co.jp
牧田 幸裕(まきたゆきひろ)
1970年 京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
2002.09.18 update 戻る

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