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牧田幸裕のビジネスマンFA宣言

新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。  
ノーベル賞受賞者の言葉に学ぶ
 東京大学の小柴博士と島津製作所の田中さんがノーベル賞を受賞しました。最近暗いニュースが続く中、久しぶりに明るいニュースでした。そして、その中で一番興味深かったのがお二人の言葉です。
 それは、「常識にとらわれず、自分の信じる道を行け」という言葉です。経営コンサルティング、特に全社戦略の策定を行う際、まず「常識を疑う」ところから我々戦略コンサルティングの仕事は始まります。数多くの会社で、社内政治によりまたは前例主義により不思議な「社内の常識」が出来上がっています。

 僕は多くのプロジェクトに役職の高い方から若い方までできる限り入るようにしていますが、役職の高い方ほど「社内の常識」に「洗脳」されており疑うことを知りません。一方、若い方は「社内の常識」には染まっていない一方で、その常識を覆す言葉を十分には持っていません。

 プロジェクトにおける僕の仕事のひとつは、若い方々の「社内の常識」に対する疑問を、「洗脳」されている役職の高い方々へ彼らが理解できる言葉でコミュニケートすることです。
 当然一筋縄ではいきません。ある意味「常識」の枠外で行動することは非常にリスクがあり、その行動が仮に誤っていた場合、失敗の責任を負わなければならないからです。

 これまでの年功序列、マイナス主義の官僚型組織の中で長い間ビジネスを行ってきた役職の高い方々には、受け入れ難い常識の変更も多々あります。しかし、社会システム、企業システムは、現在そのベクトルを大きく変えてきています。

 年功序列主義は加速度的に崩壊し、米国型実力主義の導入が進み(当然、日本市場へカスタマイズされた形で)、僕たちは冷徹な「欧米型資本主義社会」の中で生き残りをかけていかなければなりません。そのような環境の中で、連載の55回でもお話したように「不作為」のビジネスは許されないのです。「まあとりあえず前例に沿ってやっていきましょうよ」というのは、思考停止状態であり「不作為」と同様の無価値なのです。

 もうひとつ、小柴博士、田中さんに共通しているのは、自分の進む道を信じ、自信を持っているところです。

 経営コンサルティングを行い、全社戦略の策定を行う場合、時にはクライアント企業の何万人もの社員の方の今後の人生を左右する場合があります。もちろん、もちろん、僕はクライアント企業のためを考え、日々プロジェクトを行っていますが、その責任の重さに夜眠れなくなることもあります。バーボンを飲んでも酔えず、苦い酒を飲むこともあります。

 そんなときは、やはり自分の進む道を信じ、自分自身を信じなければなりません。そういう意味でも、小柴博士、田中さんはとても強い方なのだと思います。また、自分のプロジェクトにかける情熱が並々ならぬものなのでしょう。

 自分の信じる道を突き進み続け、ノーベル賞受賞という「結果」を出し、社会から「評価」された今回の話題には、僕自身非常に勇気付けられました。社会システムも、企業システムも、「結果」を適切に「評価」するシステムに確実に変わってきています。僕も、そのようなシステムの変革に少しでも力を発揮できるよう頑張ろうと思います。
ymakita@kairios.co.jp
牧田 幸裕(まきたゆきひろ)
1970年 京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
2002.10.16 update 戻る

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