転職お役立ち情報|牧田幸裕のビジネスマンFA宣言|上達のポイントは “量より質を盗め”

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牧田幸裕のビジネスマンFA宣言

新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。  

上達のポイントは “量より質を盗め”

 京都大学の大先輩で、プロゴルファーの坂田信弘さんの話に非常に興味深いものがありました。それは、「上達したければ練習の質より量を盗め」という話です。

 我々アマチュアゴルファーは何とかスコアを伸ばそうと考え、プロゴルファーの練習方法に関して、雑誌やテレビで貪欲に情報収集をします。しかし、簡単に上手くなりたいという思いから、プロゴルファーの行っている「練習方法」だけを盗もうとします。プロゴルファーは当然、我々の想像を超える練習量に裏打ちされてその成功を手に入れているわけですが、我々は「量」をないがしろにし『質=方法=ノウハウ』だけで上達しようと考えます。そこに罠があるというわけです。

 最近僕がよく行うプロジェクトには「ナレッジマネジメントシステム活用によるSFA(セールスフォースオートメーション)改革=営業改革」や「EIP(エンタープライズインフォメーションポータル)活用による社員情報武装」といったプロジェクトがあります。

 これまで暗黙知(個人の中に蓄積されているノウハウ)だったベテランの営業ノウハウや、優秀な営業マンの営業スタイルなどが形式知(誰もがノウハウを共有できる状態)となることで、誰もがノウハウを盗むことはできるわけです。

 しかし、ノウハウを盗むことができたからといって、それですべての営業マンが優秀な営業マンになるわけではありません。ノウハウを自分の血とし肉とするためには、当然試行錯誤しながらの訓練が必要になってくるわけです。勝負は、ノウハウを入手するところではなく、それを自分のモノにする訓練をしっかりとするところです。

 この部分に対する理解がないと、「ナレッジマネジメントシステムなんかどうせ役に立たない」だとか、「役に立たないノウハウしかない」といった誤解が生じます。役に立たないノウハウしかないのではなく、せっかくの財産を自分が役に立てられていないだけなのです。

 僕は、訓練の「量」に関してはこの連載でも意図的に明示するようにしています。
 大学院卒でアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループにジョインし、右も左をわからない状態から、クライアントに評価されるコンサルタントになる過程では、血眼になって努力しました。意識のある間(要するに寝ていない間)は、コンサルティングプロジェクトを成功させることに集中し、一方で日経系のビジネス雑誌や過去のコンサルティングプロジェクトの結果(大体100ページ前後の報告書)を読む勉強をやってきました。

 アンダーセンコンサルティングのナレッジマネジメントシステムを活用し、100ページ前後の報告書を300冊程度読み、理解でき始めたころから、コンサルティングのノウハウがだんだんわかってきました(アンダーセンコンサルティングをはじめとする外資系コンサルティングファームの素晴らしさは、300冊どころではなく、おそらく数万のレポートがあり、勉強しようと思えばいくらでも勉強できる環境を前提としているところにあります)。

 もちろん現在の僕も成長途上段階ですので、スキルの向上には時間を惜しみません。ワインバーでお食事をし、酔っ払って自宅へ戻ってもその日までに読むと決めた本はお風呂の中や、マッサージチェアで全身揺れながらでも読み干します(笑)。

 翻って、自分自身ゴルフのスコアが110から120で停滞しており、ゴルフ雑誌を買いまくってノウハウを盗もうと考えていたのですが、坂田さんの今回のお話で、自分自身の未熟さ甘さを認識させられました。
ymakita@kairios.co.jp
牧田 幸裕(まきたゆきひろ)
1970年 京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
2002.10.08 update 戻る 

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