今週、アクセンチュア戦略グループ統括パートナーの程近智さんと一緒に食事をする機会がありました。程さんとお会いするのは、僕がアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を卒業して以来なので2年ぶりだったのですが、僕の成長を非常に喜んでいただきました。僕自身もかつての上司から認められたのは本当に嬉しかったです。
同席していた戦略グループグループマネージャーの女性が、「最近、牧田君は本を2冊も出しているんですよ。しかも、1冊は自伝を出しちゃって」という話をすると、程さんは「なんだよー。マッキー、まだ僕は読んでないぞ。教えてくれないなんて水臭いなぁ。でも、僕はその本は別にいいや。マッキーにとっては、まだ第1章でしょ。次に出す自伝のほうがさらに面白そうだから」と笑っていました。
僕は弱冠31歳で出した自伝が気恥ずかしくて、程さんには贈呈していなかったのですが、程さんの「この本は、まだ第1章でしょ」という言葉を聞き、心の中では涙が出るほど嬉しかったのです。それは、程さんが僕を認めてくれたことを意味しているからです。
僕は大学院を修了し、新卒でコンサルタントになり、その後3年でコンサルティング・ファームの副社長になりました。周囲からは「今の段階では十分な出世だろう」「これ以上求めるなんて欲張りだ」などいろいろ言われますが、僕は現状には全く満足していません。僕のキャリアパスを登山にたとえるならば、一合目にようやく到着し「よし、これから本格的に登山をするぞ」という段階に過ぎません。
1年半ほど前にビジネス雑誌のインタビューに登場したときには、「33歳から35歳でコンサルティングファームのCEOになる」と応えています。これを達成するには、最短で考えると、あと7ヶ月しか残されていないわけです。振り返って考えて見れば、これまで僕は1年以上同じポジションに留まったことがありません。必ず1年以内にプロモーション(昇進)していたわけです。しかし、副社長のポジションに就いてから、ちょうど1年が過ぎました。そろそろ、もう一段階目線を高くする時期が来ているんだろうと思います。
今後、カイリオスジャパンまたは他の独立系コンサルティング・ファームのCEOになったとして、それもゴールではありません。その次は、さらに規模の大きなコンサルティング・ファームの社長を目指すでしょうし、事業会社の社長を目指します。売上10億円規模の事業会社の社長を経験すれば、その次には100億円規模、1000億円規模の事業会社の社長を目指すことになります。
このように、今の僕のポジションは自分の中ではスタートに過ぎないわけです。ただ、自分の目標とする「社長業を職業とする」というアイデアを実践する土俵にようやく立ちつつあるとはいえると思います。
先ほど程さんの「まだ第1章でしょ」という言葉を紹介しましたが、これは「マッキーの目線はまだまだ高いところにあるんでしょ」ということを意味しており、僕の志を認めていただいたという意味で本当に嬉しかったわけです。
アクセンチュアの素晴らしいところは、卒業してからもいろいろな場で情報交換ができ、お互いに認め合う場を持てることです。バリューネットワークを真に意味のあるものにするためには、このように既存の組織を超えたところでコミュニケーションをとれるようになる必要があります。そういう意味でアクセンチュアをキャリアのスタートに選んだのは正解だったと考えています。