転職お役立ち情報|牧田幸裕のビジネスマンFA宣言|メディアで学ぶ スキルアップ実践テクニック[2]

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牧田幸裕のビジネスマンFA宣言

新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。  
メディア学習・気をつけたい「3つのポイント」
 前回の連載は、意外にも多くの反響があり数多くのメールを頂きました。その中で一番多かったのが、「勉強方法が分かりました。私も頑張って日経などの新聞・雑誌を読み、頑張ります」というものです。著者の僕にとっては、非常にありがたいご意見です。

 しかし、実際に新聞・雑誌を読み勉強する際には気をつけなければならないポイントがいくつかあります。そこで、今回は勉強する際のチェックポイントに関してもう少し詳細に解説していきます。

1. まず、記事の中の「事実(ファクト)」と「意見・見解」をきちんと分けて読むことです。記事は事実・データをベースにインタビュアーが推論し、ストーリーを作り上げます。また、回答者が必ずしも「事実」を語っているとは限りません。「大げさ」「誇大表現」が入っている可能性はいくらでもあります。したがって、何が事実で何が事実ではないのか(インタビュアーの主観なのか)をきちんと認識した上で、記事を読まなければ、物事の本質は見えなくなります
2. その上で、読者である我々自身で、ファクトベースのストーリーを作り上げることです。そして、自分の作ったストーリーと、記事のストーリーを戦わせます。複数の新聞・雑誌を読んでいると、同じテーマを違う切り口で取り上げています。それらの情報を総合的に判断して、記事のストーリーと戦わせることは非常に面白いですし、真剣に記事を読む動機付けにもなります。
3. このようなプロセスを実現する前提には「批判的思考方法」「ゼロベースでの思考方法」が必要になります。戦略コンサルタントに必須のスキルです。戦略コンサルティングの仕事の第一歩は、クライアントにインタビューし「問題」「課題」の本質を見極めるところから始まります。クライアントにインタビューし、そこで得られた情報を鵜呑みにしていては、真実や本質は見えてこないのです。

 僕は、京都大学時代から京大の教授たちを「世間知らずの時代錯誤者」だと思い、彼らの講義を聴きはすれども鵜呑みはせず、常に疑ってかかっていました。同様に、日本を代表する大企業の取締役の方たちとお会いしても、そのお話を鵜呑みにはせず、「この人の話で、何がファクトで何が誇張・大げさなのか」ということは常に意識しています。「常識」の中で作られる「権威」にごまかされないことです。常に冷静に情報を仕分けし分析する必要があります。

 このプロセスは実はコンサルティングの仕事のルーティンワークです。
 日本企業のクライアントとお話をすると、固定観念ですでに「社内常識」が出来上がっており、それが理不尽であったり非合理的であったりしても「常識だから」といって変革の対象としない場合があります。

 これは、経営層に対してカウンターパートとなり議論する存在が社内に無いからです。上司の意見を「批判的に検討する」のではなく「Yes! Yes! Yes!」で実行する人材が評価されるシステムになっているからです。「社内常識」が誤った方向へ進んでも、誰も修正できないわけです。

 僕ら戦略コンサルタントは、そのようなしがらみは一切無いので、「批判的に」「ゼロベース」で、『この「社内常識」は常識なんかじゃないじゃん』というところから話を始めていくわけです。もちろん、変革には大きな抵抗勢力が存在します。その抵抗勢力をマネジするのが、今僕が仕事をしていて、一番エキサイティングで一番面白いところです。

 このように、基本的には「情報収集」として行っている新聞・雑誌の購読ですが、実は「戦略コンサルタントの思考回路」を常に訓練しているわけです。僕が若手の戦略コンサルタントを教育するとき、まず最初に行うタスクです。

 そして、最後にひとつだけ。「勉強方法が分かりました。私も頑張って日経などの新聞・雑誌を読み、頑張ります」と言ったからには、必ず続けることです。仕事が忙しかろうが、睡眠不足だろうが、熱が出ようが、絶対に休まないことです。瞬間的に努力するのは凡人で、継続できるのが才能だと僕は考えています。
ymakita@kairios.co.jp
牧田 幸裕(まきたゆきひろ)
1970年 京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
2002.05.10 update 戻る

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