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新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。
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僕はこの連載を含め、様々なメディアで僕の考えをお話しています。その甲斐もあってか、1ヶ月に数回ヘッドハンターから連絡を受けます。僕はヘッドハンターから連絡があると転職の意思があるかないかにかかわらず、会って話を聞くようにしています。
市場が現在の僕の価値をどのように見ているのか判断する良いチャンスですし、それぞれの産業の市況がどのような状況にあるのか判断できるからです。
ヘッドハンターと話をしていて、「牧田さんは何故そんなに毎日アグレッシブに頑張ることができるのか? その原動力は何なのか?」という質問を受けました。この質問に対する答えは、以下の通りです。
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「戦略コンサルティング」のUP or OUTの環境で生きてきているので、常に自分を磨き続けなければ、落伍者になってしまうという恐怖感が常にある(毎日ある)。 |
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その結果、その恐怖感を打ち消すために毎日ひたすら努力を続ける。これ以上できないというくらい努力を続けることで、初めて安心できる。 |
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とはいえ、頑張れば頑張るだけ「結果」として評価されるシステムの中で生きているので頑張ろうというモチベーションもある。ただし、原動力のメインは前者である。 |
ヘッドハンターは、「そんな弱気には全く見えない!」と驚いていましたが、そんなことはありません。この数年で急激にポジションが上がったこともあり、「常に成長しなければならない」という強迫観念が僕の中にはずっとあります。
朝起きたら日経新聞数誌を束ねて、ガンガン全て読み、日経ビジネスや日経情報ストラテジー、日経コンピュータ、日経ネットビジネスを毎週欠かさず必ず全部読み常にあらゆる情報を収集します。更に、メディアの方から寄贈されるビジネス雑誌も多く、それらにも全て目を通します。
そして、クライアントや社長との会話の中で、トピックにあわせこれらの情報を正確に提供します。
会社でこれらのビジネス雑誌と新聞の購読を決めたとき、経理部門から、「こんなに申し込んで全部読めないでしょう。絶対未読の山になりますよ」と反対されました。しかし、毎日必ず全部の新聞、雑誌に目を通す僕の姿を見て、彼らも理解してくれました。
「一流」の戦略コンサルティングや投資銀行の世界は本当に厳しいです。地頭が良いだけではどうにもなりません。それまで各大学でトップクラスだった奴らが、日々更にしのぎを削り、内外の「一流」の経営者たちと伍しながら、叩かれ磨かれ、最後に賞賛されなければならないのです。酸いも甘いもかぎ分けた経営者に最後に賞賛されなければ、僕らは市場から退場しなければなりません。
「ね!大変でしょ」とヘッドハンターに言うと、彼は引いてしまっていました。(笑)
しかし、このような覚悟で仕事をしなければ、クライアントに満足していただくことはできないでしょうし、若くしてクライアント企業の社長以上の年俸をGETするのはおかしいと思います。
とは言え、こんな生活を毎日やっていたら大変です。だからメリハリをつけます。毎週金曜日は必ず夕方6時に、僕は仕事を止めます。部下にも仕事を止めさせ、それぞれの時間を過ごしてもらいます。そして、金曜日の夜から、月曜日の朝までは必ず自分の時間にします。
自分で選んだ仕事であり、自分が決めた仕事なので、大変ですし厳しいですが苦しいとは思いません。皆さんがご転職を考えられる際、ひとつの指針にして頂ければ幸いです。 |
ymakita@kairios.co.jp |
牧田 幸裕(まきたゆきひろ) |
1970年
京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
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2002.04.26 update |
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