最近、気象学に興味を持ち始めました。僕の趣味のひとつにガーデニングがあるとお話したことがあると思いますが、寒い時期も過ぎ去り本格的なシーズンインの季節がやってきています。
僕の自宅はマンションの12階と13階で、13階に100平米ほどのルーフバルコニーがあります。そこでガーデニングを楽しんでいるのですが、最上階のため非常に風が強いのです。これまでは気象に関しては翌日の天気くらいしか気にしていなかったのですが、風の強さや、霜注意報など実際にガーデニングをするうえでいろいろ気をつけるポイントがあります。実際にガーデニングを始めるとわからないことだらけです。
そこで、この数十年来ガーデニングを趣味にしている母に連絡を取り、いろいろ質問をしました。風対策に、寒冷紗というものがあり、それをルーフバルコニーに張ればよいということだとか、害虫対策に何をすればよいだとか、やはりいろいろ知恵があるわけです。
母は専業主婦で、当然ビジネスに関してはそれほど詳しくありません。しかし、一方では自分の得意分野でそれなりの経験を持ち、知恵を持っているわけです。
僕はこの数年でビジネスに関しては経験を積み、知恵をコンサルティングサービスとして提供できるようになりましたが、その一方、ガーデニングに関する知恵などわからないことはいくらでもあります。
ビジネスマンの中には、また戦略コンサルタントの中にはビジネスが全てであり、ビジネスの知見以外、価値として認めない人がいます。個人プレーで付加価値を提供する場合は、その価値観でもよいのですが、チームプレーをする場合、その価値観は、最大化された価値を生み出しません。
その理由は、以下のようなプロジェクトマネージャーに課される要件から導き出されます。
1. |
チームプレーによるプロジェクトマネジメントにおいて一番重要なのは、チームのプレーヤーのそれぞれの長所を最大化することであり、マネージャーの価値観で型をはめて作業リソースにすることではないこと
|
2. |
それ故、マネージャーに課されるべき課題は、一旦自分自身の価値判断基準を横に置き、チームのプレーヤーを理解することがスタートであること
|
3. |
更にその上で、各プレーヤーのプロトコル(共通言語)になることが、マネージャーの役割であること
|
これまでのようにクライアントのニーズが、戦略コンサルティング、ITコンサルティング、システム開発といったように明確に分類できる場合は、マネージャーにこのような役割は求められていませんでした。
しかし、クライアントのニーズが、ワンストップで問題を解決してほしいというものである場合、プロジェクトマネージャーの役割は、上記の要件が非常に重要になります。ひとつのプロジェクトに、戦略コンサルタントがいて、ITコンサルタント、システムエンジニアがいるわけです。それぞれがそれぞれのバックグラウンドを持ち、それぞれの価値観を持っているわけです。その価値観を尊重しないと、彼らの能力をプロジェクトの成功へ向けて最大限発揮することはできないし、その途中でプロジェクトが空中分解する恐れもあるわけです。多様化する価値観を理解し、統合できるマネージャーでなければ、マネージャーとしての役割を全うすることはできないわけです。
今回、ガーデニングの話を母とする機会をもち、僕はあらためて母のこれまでの経験を尊敬しました。この新しい趣味を楽しんでいこうと考えています。