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牧田幸裕のビジネスマンFA宣言

新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。  
ユビキタス時代のキャリア戦略
 前回、日経BP社から 『ユビキタス革命 日本企業再生のカギ 』 という本を出版したというお話をしました。僕も早速、八重洲ブックセンターへ行き、書籍の販売状況を確認してきました。
 驚いたのは、入り口すぐの新刊コーナーに表紙積みで「ユビキタス革命」が販売されていたことです。カルロス・ゴーン氏、P.F.ドラッカー氏と並び自分の書いた本が表紙積みされているのを見て、あらためてビジネス書を出版したんだなあという感慨にふけりました。

 そして、2階のビジネス書コーナーへ行くと、「ユビキタス革命」は平積みされていたのですが、ちょうど一人のビジネスマンの方が一番上の1冊を手に取り前書きを読み始めているところでした。僕は、非常に緊張してその人の様子を伺いました。前書きを読み、その後著者紹介の裏表紙を眺め、その人は結局書籍を棚に戻しました。
 その瞬間、僕は大きく息を付き緊張から開放されました。以前から、1,000人の前で講演してもまったく緊張しないといったお話をしてきましたが、この体験は本当に緊張するものでした。

 僕は、自分のパフォーマンス(仕事であれ講演であれ書籍執筆であれ)それ自身に関しては特に緊張することはありません。しかし、僕のパフォーマンスを市場がどのように評価するかに関しては、真剣に謙虚に判断します。だから、今回も、僕の執筆した書籍を一人のビジネスマンの方がどのように判断するのか、非常に敏感になったのです。
 常々、若手コンサルタントに言っていることですが、「自己満足」のビジネスは付加価値を生みません。クライアントが満足して、または、市場が評価して初めてビジネスは付加価値を生みます。すなわち、「他者(社)満足」のビジネスだけが付加価値を生みます。 

 若手コンサルタントはよくこういう言い訳(主張)をします。
 「私はこの問題に対し、自分が正しいと思う方法で精一杯頑張りました。なぜ、それを認めてもらえないのですか」

 そこで僕は言います。
 「君が精一杯頑張ったかどうか、君が自分のアウトプット(成果)に満足したかどうかはビジネスの世界ではどうでもよいことだ。クライアントはそんな話を聞いても満足しない。クライアントが満足しないアウトプットで、なぜ君はよいと思うんだ。判断基準は、君に依存するのではない。クライアント、市場に依存するんだ」

 一流のコンサルタントは、クライアントの評価、市場の評価に非常に敏感です。それは、
1. 自分自身が商品であることを認識しており、商品に対する評価を重要視している
2. UP or OUTの環境で生きており、売れないタレントや本と同様、自分が売れなければすぐに市場から消え去ることを認識している
3. それゆえ、クライアント、市場の満足度を真剣に考えている
からです。  

 『ユビキタス革命』の中でも書いていることですが、情報インフラがブロードバンド化し、バリューネットワーク環境が成熟してくると、ある組織に属していることの価値は逓減し、自分自身が市場に対しどのような付加価値をつけることができるのかということが価値となります。ビジネスを企業組織に依頼する必要性が逓減し、必要なスキルを組み合わせた個人の集団(プロジェクト)に依頼する可能性が逓増します。

 そのような市場環境の変化を敏感に感じ取り、環境変化に応じ自分自身の市場価値を「客観的に」判断できるビジネスマンだけが勝ち残る時代が、もうすぐそこまで来ていると僕は考えています。
ymakita@kairios.co.jp
牧田 幸裕(まきたゆきひろ)
1970年 京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
2002.03.15 update 戻る

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