2月8日に幕張メッセで行ったCRMに関するプレゼンテーションが思いの他好評で、いろいろな感想・質問を頂きました。その中で一番多かった質問は、「非常に素晴らしいプレゼンだったけれども、どうやってそこまで上手くなっていったのか。何か参考にするものはあったのか」という質問です。
僕が日本のコンサルタントのプレゼンテーションで、目標とする方は二人います。一人は元マッキンゼー日本支社長の大前研一さんで、もう一人は、マッキンゼー現日本支社長の平野正雄さんです。このお二方には共通点があります。
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ロジックがしっかりしており、プレゼンテーションのスタートからエンドまで、しっかりとストーリーが出来上がっている
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産業経済に豊富な知識と深い造詣を持っており、それ故、難しいことをわかり易く説明することができる
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その結果、聞き手が疑問を持つことなく、すなわちストレスを感じずに講演に集中することができる
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重要なポイントは、難しいことをわかり易く説明できることです。これは僕が、大手予備校講師だった時代、大学講師だった時代、戦略コンサルタントだった時代、そして、もちろんこの連載においても常に意識していることです。
難しいことを難しく説明することは誰にでもできます。僕は、大学でプレゼン能力の低い大学教授に数多く会い失望しました。コンサルティングファームでも、プレゼン能力の低い先輩コンサルタントに数多く会い失望しました。
彼らは自分の能力の無さを、専門用語や横文字を数多く使うことで、なんとか隠そうとしていました。これでは、聞き手は話を聞いていてもわからないことだらけで、非常にストレスを感じます。プレゼンを聞く価値がありません。
講義なり、講演を行う場合、偉いのは学生であり、観客です。学者や、講演者は、彼らがお金を払い自分の講演を見に来てくださるので、おまんまが食べられるわけです。そのお客様に対して、理解して頂けないプレゼンテーションをすることは詐欺です。
僕が参考にしているプレゼンテーションのひとつに、日曜日の夜に放映されるテレビ「特命リサーチ200X」と「発掘あるある大辞典」が挙げられます。両者とも、
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課題となる問題に関し、専門家の意見を参考にしつつ仮説を立て
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ファクトベースで分析し、その仮説を検証し |
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その過程及び結論を誰にでもわかり易く説明する
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ところに特長があります。誰にでもわかるプレゼンテーションを行うヒントが随所にちりばめられており、よい勉強になります。
以上のような視点で、3月8日に、日経BP社から 『ユビキタス革命 日本企業再生のカギ
』という本を出版しました。eビジネスとeビジネスの次に登場すると考えられる新たなビジネスモデルに関する本です。専門的な内容にも立ち入っていますが、難しい言葉には解説を加え、eビジネス用語集としても使えるよう工夫しました。全国大手書店で入手可能だと思いますので、ご覧頂けると幸いです。