以前、ホームシアターを構築しているとお話したことがありますが、とうとう完成し、最近映画にはまっています。AVアンプもDENONの最高機種を40万円出して買い、非常に迫力のある音が出ます。
しかし、ここで気付いたのが、そのAVアンプの機能を僕が使いきれていないことです。最高機種なので、いろいろな機能がついています。オーディオショップでは、営業マンから「あれもできる、これもできる」と様々な営業トークを受け、思わず買ってしまったのですが、自宅に戻ってよくよく考えてみると必要のない機能も結構あります。僕の自宅のリビングは15畳ですが、この狭さでこのAVアンプのパワーは必要ありません。
そこで、考えるわけです。「果たして僕の40万円の投資は、効果のあるものだったのだろうか——」
企業の情報システム投資も同様です。SIベンダーやコンサルタントは、あの手この手で営業トークをするわけです。「このERPシステムを導入すれば、業務プロセスは大幅に改善されます」「このCRMシステムを導入すれば顧客情報を管理でき、営業効果は抜群に向上します」
ところが、クライアントがそのシステムの必要性を吟味せず、「IT、ITというし、なんか効果でそうだなぁ」といった、曖昧な目的でシステムを導入すると高い買い物になります。僕が15畳のリビングの狭さを吟味せずにハイパワーの最高機種を買ってしまったように、自社の事業戦略との整合性、システム導入の必要性、情報リテラシーなどを厳密に吟味せずハイパワーのシステムを導入したところで、使われる機能は限られてしまうわけです。
先に挙げた3つの要件はいずれも重要なのですが、今回は特に情報リテラシーのお話をします。
いくら素晴らしい様々な機能を持ったシステムを導入しようとも、使わなければ全く意味がありません。システムは無用の長物になってしまいます。「システム入れたんだけどねぇ、全然使われてないのよ」というお話をクライアントからよく伺います。僕からしてみれば、当たり前です。使い勝手が悪いのです。B
to Cでは、企業は顧客のために必死になってユーザビリティ(使い勝手)を考え、カスタマーエージェントにまでなろうとします。
ところが、B to Eでは、「システムできたぞ! さあ、使え」といったプロダクトセラーの視点しか見えてきません。ユーザーである従業員の視点でシステム構築がされていないわけです。それでは、誰も使ってくれません。
一方、ユーザーである従業員にも問題があります。確かに、新しいシステムは使い方を覚えなければいけないし、慣れているこれまでの業務プロセスを変えなければいけないし、面倒くさいわけです。使い始めは生産性が落ちます。しかし、使い勝手さえ覚えてしまえば生産性は向上するわけです。そこまで目線を高くできている従業員はほとんどいないのが現状です。
実は、カイリオスでもグループウェア(企業情報管理システム)を導入しています。しかし、使う人使わない人いろいろ出てきます。今回僕は、組織のリーダーとして率先して使うようにしました。クライアントでも経営陣が率先してシステムの重要性を理解しないと、効果が現れない例を多々見てきたからです。僕のスケジュールを見ていない人には責任を負わないことにしました。そうすることで、従業員も次第にシステムを使うようになり、使えばその価値を認識し、情報管理のクウォリティは飛躍的に向上しました。
ただ、率先してシステムを使うのは良いのですが、僕はスケジュール情報を入れすぎました。GC(合コン)のスケジュールまで入れておいたのですが、当日になり、周囲からやたらとプロジェクトの進捗報告やミーティングを申し込まれ、(要するにGC妨害工作)(笑)
せっかくのGCに遅れそうになってしまいました。
このようなお話を(GCの話はしませんが)、2月8日に千葉・幕張メッセで行います。よろしければ是非ご来場下さい( 『Net
& Com 2002』 [日経BP主催] ) 。