今回は自分の対価に対するお話です。皆さんは、何に対する対価として毎月給料をもらっているのでしょうか。時間ですか?
サービスですか? それとも他の何かですか?
僕が大学の非常勤講師をしたり、現在でも専門学校の非常勤講師をする場合は時間給で報酬をもらいます。1コマ教えてなんぼの世界ですね。僕がコンサルタントになった当初は、このような時給計算の報酬の仕組みに慣れ親しんでいたので、年俸制の残業代のつかないシステムにすごく違和感を持っていました。戦略コンサルタントの仕事は大変忙しく、徹夜で仕事をすることもたびたびあります。そうすると時間給で自分の報酬を考えると、1年生コンサルタントの場合コンビニやファストフードの時給の方が高い場合もあり、道を誤ったかと思うこともしばしばありました。
しかし、コンサルティングサービスは、戦略策定や、業務プロセス改革、システム構築といったサービスの「結果」を対価として報酬をもらう仕事です。「結果」のクウォリティの高さによって、または希少性によって報酬が決まるわけです。「結果」に至るまでにいくら時間がかかったかということは関係ないのです。優秀なコンサルタントはより短い時間で高品質の「結果」を出す、だからその結果に対する報酬も高い、そうでないコンサルタントは時間をかけて低品質の「結果」を出す、だからその結果に対する報酬も低いという構造になるわけです。
では、経営者としての今現在の僕はどうでしょう。僕は自分のファームに対し売上を計上し利益をもたらす、そして、その対価として、売上の一部を報酬としてもらっています。事業をする上では、当然利益を出す必要があります。クライアントをきちんとマネジして、僕のファームのメインバンクの通帳に定期的にコンサルティングフィーが入金され、その中から従業員の給料が支払われ、オフィスの家賃が支払われ、その他もろもろが支払われ、そして残金が通帳に残るという作業を繰り返しているので、ファームは法人として健全に維持されるわけです。その結果として、僕の役員報酬があると考えています。
先日、元JPモルガン日本支社長の藤巻さんが書かれた本を読んだのですが、同じフレーズが出てきます。彼も、「会社に対し時間を売ったのではなくディーリングによる利益を売った」、そしてその結果非常に高い報酬を手にしているわけです。
ここまで読まれて、既にお気づきだと思いますが、一般的に上の話であればあるほど、ローリスクローリターン、下の話であればあるほどハイリスクハイリターンです。
時間給を中心とする日本企業は、一般的に自分の業績にかかわらずなかなかクビになることはありません。(最近はそうも言えなくなってきましたが)その代わり、自分の業績如何が報酬にダイレクトに反映されるケースは少ないです。
よく外資系企業はハイリスクハイリターンだと言いますが、外資系コンサルティング業界はまだまだミディアムリスクミディアムリターンです。会社の業績にかかわらず(ボーナスの増減はあれ)給料は入ってくるでしょう。結果を出さなくてもせいぜいクビになって終わりです。
事業経営者は、好業績の事業をIPOしたり、事業を売却することで(特に創業者の場合)莫大な富を得られる可能性があります。しかし、失敗した場合、報酬を返上するケースもあり、有限責任という建前はあれ株主代表訴訟など起こされた場合、大きな負債を抱える場合があります。
ただ僕は、単純にハイリスクハイリターンがプロフェッショナルだとは思いません。例えば、著名な大学教授などは2時間の講演で高額の講演料をGETしたりするわけです。ローリスクでもハイリターンを得られる道はあるわけです。
僕はこの5年くらいで一気にローリスクローリターンからハイリスクハイリターンの世界まで全てを見てきたのですが、自分にはハイリスクハイリターンの世界が向いていると思っています。皆さんもキャリアディベロップメントを考える際、どの世界が一番自分に向いているか一度考えてみては如何でしょうか。