このサイトをご覧になっている方には、コンサルティング業界への転職を考えている方も多数いらっしゃると伺っています。僕自身、いろいろメールで相談や質問を受けているのですが、一番多い質問は「事業会社からコンサルティングファームへ転職して果たしてやっていけるのか自信がない」という質問です。僕もこの連載で「厳しい世界だ」と書いていますが、その影響もあるのかもしれません。そこで、個別の質問の答としてではなく、総論として上記の命題を考えていこうと思います。
僕の結論は「厳しいのは当然ですが、自分に自信があり、自分を磨きたいなら是非転職してください」という結論です。その理由は、外資系戦略コンサルティングファームは優秀な組織だからです。自分を高められる組織だからです。
優秀な組織とは何でしょう。僕の考える優秀な組織の要素の一つは、上司が優秀で自分の力では太刀打ちできないレベルの人間が多くいる組織です。幸いにして外資系コンサルティングファームは、基本的にUP
or OUTです。上司には相当世渡りに長けているか、ビジネスのできる人間しか残りません。駄目な上司というのは基本的に存在しないシステムです。僕は、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)の戦略グループに属しましたが、上司は人間的に合う合わない、人間的に尊敬できるできないは別として、仕事の上では圧倒的に力があり尊敬できる人だらけでした。そして、シニアマネージャー(キャリア10年以上)やパートナー(キャリア15年以上)の直下で仕事をすることが多かったので、力の差は圧倒的でした。その結果、求められる水準が高すぎて、苦しみ自律神経失調症にまでなりましたが、非常に短期間で仕事ができるようになりました。常に目線を高く持つことができました。彼らの求めるレベルは生半可ではなく、日々そのレベルへ追いつこうと努力できたからです。
一方、これを一般論でまとめることは乱暴と承知の上で言いますが、日本企業の事業会社には下らない管理職が多すぎます。基本的に “UPorOUT”
ではないため、玉石混合の管理職が存在するからです。仕事柄、様々な提携を考え日本企業の取締役クラスの方とお話する機会があります。もちろん彼らはこの道30年以上、立派なのはわかります。しかし、提案に対し「総論賛成各論反対」だとか「批判はするが代替意見は無し」「やるなら他の役員のコンセンサスを採ってからにしてね。くれぐれも僕だけの責任にはしないように」といった反応をする役員もおり、意思決定にとにかく時間がかかります。まあ、それを纏め上げるのが僕の腕の見せ所です。それが仕事なのですから文句はありません。
しかし、仮に自分がこのような組織に属していたら「無駄なところでエネルギーを費やし、自分のやりたいことは全然できないんだろうなぁ」と思います。目線を高く維持するのも難しいと思います。もちろん、そういう組織で頑張っている方もいらっしゃるわけですが、僕はもっと合理的な組織を作り上げたいです。
「自分で自分のリスクをとることに責任を持てる」のであれば、是非転職し外資系のUPorOUTの醍醐味(世間では悪い部分が強調されていますが、上司は精選されます)を味わってみては如何でしょうか。