またまたラーメンの話で恐縮ですが、昨年4月からセブンイレブンで「すみれ」や「一風堂」といったラーメン店の名前で売っているカップラーメンがあるのをご存知ですか。
これまでカップラーメンは、日清食品の「カップヌードル」を始めとして、メーカーのブランドを前面に出した商品が主流でした。しかし、セブンイレブンのPOS(販売時点情報管理)データによれば、このようなメーカーの名前をブランドとした商品のシェアが落ちてきています。一方、商品の味や特徴をブランドとした「すみれ」のようなカップラーメンは販売価格が高いにもかかわらず順調に売上を伸ばしています。ナショナルブランドの価値よりもプライベートブランドの価値が市場では評価される時代になってきているのです。
これは人材市場においても同様だと考えます。ナショナルブランド(属している企業の価値)が崩壊してきています。日本を代表する大企業の相次ぐリストラ、倒産により、有名な組織に属しているからといって、そのままその人の価値を高く評価するということはありえなくなっています。
むしろ、個人がこれまでにどのようなキャリアを形成し、その特徴・希少性はどこにあるのか、または組織に対してどのように貢献し、どのような結果を出したのかというプライベートブランド(個人の市場価値)が人材市場では評価の対象になります。
僕はコンサルティングファームの副社長という立場にあるので、当然組織のリクルーティングも担当しています。採用する立場から言えば、ナショナルブランド(属している企業の価値)はもちろん安心材料になります。一定の採用基準をクリアした人材であることが一応担保されるからです。
しかし、重視するのはナショナルブランドではなくプライベートブランド(個人の市場価値)です。そして、それはまずレジュメ(職務経歴書)に現れます。面接をする前に、僕はレジュメを徹底的に読みこみます。面接でのネタ探しという意味合いもありますが、それ以上にレジュメを見れば応募者がどれだけ自分の市場価値に気を使っているか(=自分をアピールするのに真剣かどうか)解るからです。ただ、実際には、そういう意気込みが感じられるレジュメはなかなか目にしません。
一方、僕の周りにいる優秀な経営コンサルタントは、転職の機会のみならず半年に一度または1年に一度レジュメを書き直しています。そうすることで、常に自分のブランドに気を使っています。また、レジュメを書き直すことで、自分がやってきた仕事を客観的に振りかえることができます。僕自身もレジュメをちょくちょく書き直します。別に転職したいからではなく、自分のキャリアパスを考えて、目標に到達している部分、もっと頑張らなければいけない部分をはっきりさせるためです。
自分の「ありたい姿」と「現実の姿」をはっきりさせ、そのギャップを埋めるためのTo Do Listを作るために、転職を考えなくてもレジュメを作ってみることをお薦めします。