転職お役立ち情報|牧田幸裕のビジネスマンFA宣言|優秀な経営コンサルタントは、優秀な経営者になりえる…

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牧田幸裕のビジネスマンFA宣言

新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。  
キャリアアップのための実践勉強法[1]
 今回から2回にわたり、優秀な経営(戦略)コンサルタントは優秀な経営者になれるのかというお話をしていきます。このテーマは、経営コンサルタントを目指す方のみならず、現在経営コンサルタントをやっていらっしゃる方も非常に興味を持っていらっしゃるところだと思います。もちろん以下述べることは僕の私見です。僕の私見以外にも、いろんな見解があると思います。ただ、僕は経営戦略コンサルタントを経験し、その後コンサルティングファームの経営に携わっています。その中で僕自身が感じたことを中心としてお話していきたいと思います。

 まず結論から言うと、優秀なコンサルタントが優秀な経営者になれるという命題に諾することは一般的には難しいと思います。プロパー(新卒時からコンサルティングファームに入り事業会社を経験したことのないコンサルタント)は、さらに難しいと思います。
 なぜなら、経営コンサルタントと経営者に求められるスキルが全然違うからです。さらに事業会社の人材開発方法とコンサルティングファームの人材開発方法も全然違うからです。この部分を意識し自分を状況に応じて変えられないコンサルタントは、たとえ優秀なコンサルタントであっても優秀な経営者にはなれないと考えます。以下、詳しく説明していきましょう。

 まず、優秀なコンサルタントに求められる資質とは何でしょう。それは、事実を収集する能力であり、その事実を分析する能力であり、そこから何らかのメッセージをロジカルに導き出す能力であり、そのメッセージを相手にわかりやすく説得力を持ってプレゼンする能力です。もちろん、コンサルティングプロジェクトはチームで行いますが、以上の資質は個人の能力によるところが非常に大きいです。翻って、個人プレー(自分の脳味噌と腕)だけで高い評価を得られるところでもあります。

 一方、経営者に求められる資質とは何でしょう。もちろん、上記のような経営戦略を打ち立てる能力は当然求められます。しかし、それ以上に打ち立てられた経営戦略を実際に実行するドライブ能力が求められます。すなわち、組織を引っ張る能力が求められます。組織に戦略を理解させるプレゼン能力はさる事ながら、「納得させ」モチベーションを維持・向上させるドライブ能力(リーダーシップ・カリスマ)が必要となります。さらに、戦略を実現するためにスキルの足りない部分があるのであれば、外部から人材を調達するか、自社内で育てる必要があります。外部から人材を調達する場合も、経営者に人間的魅力(この人と一緒に仕事をしてみたいと思える力)がなければ調達は難しくなります。また、注意すべきは自社内で人材開発を行う場合で、コンサルティングファームの人材の育て方を、そのまま事業会社に当てはめることはできないということです。

 僕がコンサルタントだった時の教育のされ方は、とにかく「突き放し教育」でした。仕事のやり方は教えない。それは自分で考え出せ。それで食らいついてくる奴は見てやる。あきらめる奴はそこで終わりだ、という教育方法です。非常に厳しい方法です。“UP or OUT”の組織でこそ採り得る冷徹な教育方法です。右も左もわからない社会人1年目で、この方法をとられるのは大変です。僕自身も自律神経失調症になりましたが、戦略グループの同期もほとんど身体に変調をきたしていました。

 ただ僕はこの教育方法を単純に否定はできません。何よりもまず、自分で考える力が身につきます。毎日が断崖絶壁のぎりぎりのところにいる状況です。常に自分で複数の進み手を考え、最良の進み手で前に進まなければ、それは経営コンサルタントとして死を意味するのです。日々戦いです。「指示待ち」ビジネスマンになることはありえません。毎日、生きるか死ぬかの緊張感の中で過ごすことで脳味噌の体力はどんどん向上し、ビジネスマンとして成長していったと思います。

 では、このような教育方法は、教育する側から考えるとどうなのか、その辺の話を次回していこうと思います。
ymakita@kairios.co.jp
牧田 幸裕(まきたゆきひろ)
1970年 京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
2001.9.14 update 戻る

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