転職お役立ち情報|牧田幸裕のビジネスマンFA宣言|プロとして身に付けるべきスキル[1]

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牧田幸裕のビジネスマンFA宣言

新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。  
プロとして身に付けるべき「必須スキル」 [1]
 さあ、今回からプロフェッショナルとしてFA宣言するために身に付けなければならないスキルを説明していきます。

 まず最初に何よりも声を大にして言いたいのは、「時間の大切さ」を認識することです。言い換えれば、約束した時間を守ることです。相手の時間と自分の時間を大切にすることです。僕は、相手が一部上場企業の取締役であっても、5分以上約束の時間に遅れたらミーティングをキャンセルさせて頂いています。僕の5分間のチャージは、サラリーマンの日給分以上あります。5分を無駄にすることでそれだけの機会損失を発生させているのです。だから僕は絶対に時間に遅れません。相手に対しても機会損失を発生させたくないからです。実際、アンダーセンコンサルティング時代も、時間にルーズなマネージャーやパートナーがいましたが、僕は新人コンサルタントの時代から、そういう上司には、理由を聞き、理不尽な理由の時には怒鳴り散らしました。仕事上の上下関係はあっても、相手の時間を尊重するという意味では対等だと考えていたからです。

 時間の大切さを認識するということは、「スピードが価値だ」と認識することでもあります。上司から、または、クライアントから仕事を頼まれたら、彼らが期待するよりも常に早く、彼らが期待するよりも高いクウォリティで仕事を仕上げることです。一流の戦略コンサルタントのメールは、チャット状態です。僕自身も、大半のミーティングはメールでチャット状態でやってしまいます。相手の発言との間隔は大体1分くらいです。3分以上待たされることはありません。そうするといちいちミーティングルームに移動することなく、自分の仕事と平行してミーティングが可能になります。

 スピードを価値にするためには、自分の頭の中で常にタスクの優先順位が考えられている状態でなければなりません。戦略コンサルタントは、時に一見理不尽ともいえる要求をされることがあります。僕がコンサルタントになってからまだ数ヶ月のとき、こういう経験がありました。ある日の夕方4時に、「明日から新しいプロジェクトだ。よろしく」とマネージャーに言われたのです。「明日の朝9時までに、この業界全部理解しといて(笑)」と言われ、170冊の業界関連資料を渡されました。目が点になりました。一度も経験したことのない、全く未知の業界です。

 「未知の業界のことを、明日朝9時って、おいおい。今日は今から合コンの約束があるんだよー」と心の中で憤りましたが、仕方ありません。大量の資料を前に、明日までに何をすべきか考えました。この時点で夕方5時です。残り時間は、16時間。1時間に10冊読んでも間に合いません。6分に1冊。無理です、そんなの。そこで、ダッシュでマネージャーのところへ行き、明日会うクライアントの問題意識が何なのか、根掘り葉掘り聞きました。そして、それに関連する部分だけをまず目次でチェックしたのです。170冊全部チェックし終わったのは、12時を過ぎていました。残り9時間。吉野家で腹ごしらえをした後は、チェックした内容をどんどん読み進め、全部読み終えたのは、朝6時でした。残り3時間。後はひたすら、関連分野以外の目次だけを読み、全体観を掴むことに徹しました。そして、その日のクライアントミーティングは無事成功しました。

 このような一見無理とも思える状況を自分の脳味噌で何とか解決策を見つけ、優先順位付けをできることは、「スピードの価値」を実現する上で非常に重要です。

 次回は、「定量表現」と「定性表現」についてお話します。
ymakita@kairios.co.jp
牧田 幸裕(まきたゆきひろ)
1970年 京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
2001.08.10 update 戻る 

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