成功するシニアの採用

「シニア・プロフェッショナル」を採用するメリット

森村 学

2006年1月のプロフェッショナル・マスターズの事業開始以来、550名を越えるシニア・プロフェッショナルの方々の登録面談を行い、今後の働き方に関する考え方やご希望をインタビューしてきました。
おそらく、シニア世代の転職希望者との面談数としては、他に無い程の数だと自負しております。
シニア・プロフェッショナルはどのような働き方を希望されているのでしょうか。

まず、多くの方々が、報酬には拘っていません。
第二回のコラムに書きました、「シニアは給料が高そうだ」という先入観は、ほぼ払拭されると言ってもいいでしょう。おそらく、本コラムをお読みの方々の多くは、「就職先が決まらないから、そう言っているのでは?」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。その背景には、二つの大きな理由があります。
一つ目は、退職金です。
早期退職・定年退職により、それなりの額の退職金が入ってきます。加えて、お子様も社会人になったとなると、もうそれほどの報酬が無くても大丈夫な状況になっている方が多いです。
二つ目には、働くことに対する考え方です。
確かに、これまでは第一線で活躍されて、前職の最終職位としてはそれなりの役職に就かれていた方が多いです。しかし、これからは、「若い人に経験を伝えていきたい」「若い会社(経営者)を支えたい」「社会の役に立ちたい」という考えのもとに仕事を探している方が多いのです。よって、これまでは1,500万円以上の年収だった方々でも、若手〜中堅社員相当の年収で採用することが可能になります。しかも、30年以上の豊富な経験を持っている方々です。実務面だけでなく、若手の指導者としても力を発揮してもらえます。経営的なメリットが大きいと言えるのではないでしょうか。

また、若手を採用した場合は、会社の成長に合わせて、数年先の彼らのキャリアパスを考えなくてはなりません。しかも中途採用の場合、現状の組織の課題を考慮した採用となります。必然的に求めるスペックが高くなっていきます。そうすると、それを満たす若手が見つからない。見つかったとしても報酬との折り合いがつかない。よって、タイムリーな採用ができない悪循環に陥っていきます。
ところが、シニア・プロフェッショナルの場合、キャリアパスを考えなくてもよいのです。つまり、彼らをどう成長させていくかを考えるのではなく、知識や経験をふまえ、会社の成長や現状の課題を共有し、それに力を注いでいただけばよいのです。

さらには、30年以上の経験からの良識を持った視点は、若い会社にとっては新たな視点となるものです。特に成長過程において発生する問題については、若い視点だけでなく、豊富な経験と良識をふまえた判断が必要となります。その際に、シニア・プロフェッショナルが力を発揮するものとなります。

以上のように、シニア・プロフェッショナルの採用は、経営的にもメリットが大きいものと言えます。
本コラムをご覧の皆様の企業でも、是非とも前向きに検討していただければと存じます。
そうは言っても、まだまだ先入観や不安を拭い去れない方々も多くいらっしゃることと思います。

次回以降のコラムでは、プロフェッショナル・マスターズにおける採用成功事例や、求人企業や登録希望者のインタビューをもとに、具体的なケーススタディを書いていこうと思います。

森村 学(もりむら まなぶ)
株式会社ライフデザインコンサルティング プロフェッショナル・マスターズ事業部 事業部長
1966年生まれ。
システムエンジニア、営業職を経て、2000年、人材紹介業界へ転職。ベンチャー・中小企業を中心に担当。

2006年、監査役・顧問・アドバイザーを専門とした人材紹介サービス「プロフェッショナル・マスターズ」の設立に参画。
豊富な経験と知識を持つ「シニア・プロフェッショナル」を成長企業の常勤監査役や課題解決のための顧問・アドバイザー職としての採用実績を重ねている。
2007.9.6 update

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