成功するシニアの採用

「女性の活用」から「シニアの活用」の時代へ

森村 学

今は当たり前となった女性の社会進出。皆様の企業でも、男女の区別無く、重要な仕事・責任のあるポジションを任せているケースは多いかと思います。また、復職制度の定着により、出産後であっても、元の職場に戻って活躍する方も増えてきています。他にも、結婚後も派遣社員として得意な仕事を続けていく方など、働く意欲を持った女性を、雇用形態の如何にかかわらず、上手く活用していくことが当然の世の中になりました。
しかし、以前はどうだったでしょう。

  • 女性の採用は一般職のみ
  • コピー取りとお茶を入れるのは女性の仕事

こんな風潮がまかり通っていた時代がありました。
逆に、当時の女性の多くに、

  • 会社は結婚前の腰掛け
  • 女性の定年は25歳

こういった考えを持っていた方が多かったのも事実です。
男女雇用機会均等法の有無にかかわらず、女性であっても、専門知識があったり、責任感が人一倍強かったり、前向きな努力家であったり、そういった人材をいち早く登用した企業が成長していった事実は言うまでもありません。

多くのシンクタンクが発表しているように、シニアの多くが「定年後も働きたい」という希望を持っています。国の施策として、定年の延長や再雇用制度の義務化等々が実施されてきています。65歳までであれば、全てのシニアが働ける環境が整備されつつあります。本年、2007年は、その第一歩と言えるでしょう。
一方、現実に目を向けますと、「全てのシニアが65歳まで働けるわけではない」という事実があります。
役職定年制であったり早期退職制度であったり、55歳前後には退職勧告のようなことが行われます。また、再雇用制度を設けていたとしても、給与の大幅ダウン提示や役職解任等、再雇用を受け入れるにはかなり厳しい条件を突きつけられます。暗に「もう退職してください」と言っているようなものです。つまり、知識・能力の有無に関わらず、「55歳以上の方には退職していただく」という企業がまだまだ多いということです。
逆に考えると、豊富な経験や専門知識を持ち合わせ、働く意欲の高いシニアが、転職市場に大量流出されてきていると言うことができます。

コラムの第一回目にも書きましたが、団塊世代の大量退職や少子化という時代背景において、労働人口が減少の一途を辿っている昨今、「適正人材をタイムリーに確保していく」ためには、シニアをその対象としていくことが重要となってきています。女性をいち早く活用した企業が成長をしたように、これからの時代は「シニアを活用」する企業が成長していく可能性が高いと言えます。

30年以上のビジネス経験者が転職先を探している訳です。受け入れない手はありません。特に、社歴が浅い企業、平均年齢が若い企業、成長の踊り場に差し掛かっている企業等、これからの更なる成長や現状の課題解決のために、知識・経験豊富なシニアの有効活用に、積極的に取り組む必要があるのではないでしょうか。
しかし、全てのシニアがその対象とは言えません。単に「知識・経験豊富なシニア」というだけではなく、「シニア・プロフェッショナル」でなくてはなりません。

森村 学(もりむら まなぶ)
株式会社ライフデザインコンサルティング プロフェッショナル・マスターズ事業部 事業部長
1966年生まれ。
システムエンジニア、営業職を経て、2000年、人材紹介業界へ転職。ベンチャー・中小企業を中心に担当。

2006年、監査役・顧問・アドバイザーを専門とした人材紹介サービス「プロフェッショナル・マスターズ」の設立に参画。
豊富な経験と知識を持つ「シニア・プロフェッショナル」を成長企業の常勤監査役や課題解決のための顧問・アドバイザー職としての採用実績を重ねている。
2007.8.9 update

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