成功するシニアの採用

「シニアは○○だ」という先入観

森村 学

プロフェッショナル・マスターズにて求人企業のインタビューの際、
「シニアは○○だから・・・。」
という意見が多く出てきます。
結論から言いますと、それは個人の問題であり、シニアの問題ではありません。 
「シニアは○○だ」には、どのようなものがあるでしょうか。
代表的なところを挙げてみようと思います。

1.シニアは「偉そう」だ
日本の社会は「年功序列」で成り立っていました。バブル崩壊以降、企業内におけるこの制度も崩壊した訳ですが、シニアの方々は「年功序列」制度の中で育ってきたことはいうまでもありません。
シニアの特徴として、転職経験が無い方が多いということがあります。つまり、大企業であればあるほど、年功序列の制度の中で生きていることになり、その方が意識する・しないに関わらず、「偉そうな態度」が身に付いてしまう場合があります。
業界特性という場合もあります。だからと言って、「シニア=偉そう」ということではありません。むしろ、偉そうな態度であることに気づいていない不幸な方が多かったりもします。逆に、若くても偉そうでビジネスマナーも身に付いていない方も多いですよね。

2.シニアは「長く働いてくれなさそう」だ
60歳定年と仮定した場合、55歳の方は5年しか働けず、30歳の方であれば30年は働けます、計算上は。でも、実際はどうでしょう? このコラムを読んでいただいている皆様の会社の定着率はいかがですか?
若い方を採用しても、2〜3年で退職していませんか?

3.シニアは「給料が高そう」だ
確かに、年功序列型の給与体系では、確かに年齢が高い人ほど給料が高くなります。しかし、年齢給(何歳だと給料がいくらと決まるもの)がほとんどを占める給与制度の民間企業がこのご時世でどれだけあるでしょうか。ほとんど無いといって良いでしょう。
現実的には50歳代前半くらいまでは子供の教育費や住宅ローンなどがあり、ある程度の年収を確保しないと生活できない人も多く見られますが、「年齢が高いと、給料も高い」とは言い切れません。むしろ、「子供も社会人になった」「退職金で住宅ローンも完済した」ということで、高年収を必要としなくなってくる世代になってきます。若い社員と同等の年収で、豊富な知識・経験を社内に取り入れることができる絶好の機会と考えるべきでしょう。

他にも、「頭が固い」「若手や女性社員を見下す」「PC(インターネット)リテラシーが低い」等々の意見が聞かれます。しかし、これらは全て個人の違い。同じシニアでもAさん、Bさん、Cさんの違いです。若い方にもいらっしゃるものです。
ですが、比率的にシニアに多いのも事実です。年功序列・終身雇用という社会で長年生きてきた弊害と言えるかもしれません。そのようなシニアは、これからの社会では、もっとハッキリ言うならば、別の会社(つまりは転職先)では、働いていくことはできないでしょう。

森村 学(もりむら まなぶ)
株式会社ライフデザインコンサルティング プロフェッショナル・マスターズ事業部 事業部長
1966年生まれ。
システムエンジニア、営業職を経て、2000年、人材紹介業界へ転職。ベンチャー・中小企業を中心に担当。

2006年、監査役・顧問・アドバイザーを専門とした人材紹介サービス「プロフェッショナル・マスターズ」の設立に参画。
豊富な経験と知識を持つ「シニア・プロフェッショナル」を成長企業の常勤監査役や課題解決のための顧問・アドバイザー職としての採用実績を重ねている。
2007.7.26 update

[ この記事のバックナンバー ]