経営課題のための人材・組織戦略

経営ソリューションツールとしての「人材モデル」・5/12

株式会社クイック ヒューマンキャピタル総合研究所

「人材モデル」の策定と活用の仕方

各因子やその他の詳しい用語について、説明等をしていませんので充分ではないですが、「人材モデル」とはどのようなものであり、そこから何が分かるのかがイメージしていただけましたでしょうか。ここでは、この「人材モデル」を、どのようにしてつくり、何にどう使えば、経営課題の解決に繋がる、人材・組織のマネジメントができるのかついてお話しをさせていただきます。

[1]「人材モデル」の作り方

「人材モデル」は、導入される各社にとって「あるべき人材の基準」となるものです。したがって、企業としてのビジョンや長中期的な経営の方向性などが与件となって、この政策を実践する主体として求められる「あるべき人材」を具体化することができるのです。 つまり、単に現状のハイパフォーマー(高業績者)がベストというわけではなく、企業としての今後の方向性に即した求めるべき人材について、当社の用意したアンケートに答えていただき、その結果に基づき数回のディスカッションを行い、実在する社員で妥当性の検証もしながら、最終的に必要な職種・階層毎に作り上げていきます。

しかしここで重要なことは、多様な「パーソナリティ傾向」の人材の特性を充分引きだし活用するためには、一つの職種・階層につき、「人材モデル」は必ずしも一つとは限らないということです(在籍者の多い基幹職種に関しては、少なくともに二種類は必要なケースが多いです)。

[2]「人材モデル」の完成例

完成した「人材モデル」を、ある企業(C社)の例でご覧いただきます([表2])。階層的にはまだ管理監督者ではない営業職種の例です。非常に具体的な「求めたい人材像」の記述となっています。しかし「人材モデル」として実際に活用するために重要なことは、このような行動の背景にある“パーソナリティ傾向”や“欲求傾向”の因子を特定することなのです。その、特定された因子は次のようになっています([表3])。

  1. 社会性が高く、対人コミュニケーションも良好である。
  2. 発想は堅実でありながら、センスのよい意見もだせる。
  3. 現状を客観的に的確に把握することができる。
  4. 内面が充実しているので、外部の状況に惑わされにくい。
  5. 何事にもまじめに、丹念に取り組むことができる。
  6. 努力家で一旦取り組んだ事は、自分が納得できるまで行う。
  7. 困難に対しても、あきらめたり放り出したりすることはない。
  8. 現実的な対応ができるが、有効でないと判断すれば、異なる方法での対応もできる。
  9. 規則や秩序、常識や固定観念にはとらわれず、柔軟に考え自由な行動がとれる。
  10. 精神的に安定していて明るく、自分の考え(意見)で発言や行動ができる。
[表2]
  パーソナリティ傾向 欲求傾向 行動傾向
高いことが
望ましい因子
客観性タイプ
持続性タイプ
身体性タイプ
危機耐性 責任感
自己信頼性
低いことが
望ましい因子
▲規則性タイプ
▲弱きタイプ
  ▲従順性
▲モラトリアム
[表3]
株式会社クイック ヒューマンキャピタル総合研究所
人材・組織コンサルティング事業(人材開発・組織開発・人材課題・組織課題へのソリューション)、制度企画コンサルティング事業、各種組織管理制度の企画・策定・運営をメインに、人材採用から教育開発・最適配置、組織デザインなど人材と組織における経営課題へのトータルソリューションを展開。
URL:http://919.jp/  E-mail:info-jkai@919.jp
2002.05.20 update

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