経営資源としての人材・4/5
株式会社クイック ヒューマンキャピタル総合研究所
人材は不確定な変数であり、誤って用いれば、単にコストともリスクともなりうる存在です。しかし、だからといって皆様方にとって、人材マネジメントは難しいとはいっておられません。では、経営に於いては「不確定な変数である人材」をどのように理解し、把握すればよいのでしょうか。経営資源としての人材は、少なくとも次の3つの要素で理解することが必要です。それは、先ず広義の能力、次に意欲、そしてパーソナリティの3つです。みなさまはこの3つの中でどれが最も扱いやすく(マネジメントしやすく)、どれが一番扱いにくい(マネジメントしにくい)と思われますか。または、どれが最も重要であると考えますか。
実は、企業の採用姿勢に、この3つの要素に対する興味深い現象が表れています。それは一般的に、企業の成熟度に比例し高度化する採用内容に応じて、この3つの優先順位が段階的に変化する傾向があるということです。[図2]
設立後まだ間がない、もしくはまだ企業規模が大きくなく、企業名も知れていないとなれば、人材の確保には苦労が伴うものです。(1)の段階では、まずは業務遂行のための人員(頭数)を確保することが最優先されます。「経験問わず、ただしやる気のある人」という求人広告をよく目にされると思いますが、これが第一段階です。
次の(2)の段階は、人員体制もそこそこ整ってきた事業の拡大期で、職務の遂行能力を保有しているか否かが問われます。いわゆる一般的な「経験者採用」です。同業界・同職種での経験者中心に、能力が重視されだします。即戦力化のためにも当然です。
しかし、企業組織も拡大し、さまざまな人材によって組織が構成されてきますと、いろいろな課題が出てきます。そこで、(3)の段階にはいります。優秀な成果を上げた人材であり、管理職としても期待したのだが、リーダシップを発揮して組織を上手くまとめて行くことができないとか、専門能力は抜群だが、メンバーとコミュニケーションがとれない。あるいは、異動や配置転換で職種が変わったとたん、やる気を失った、というような事柄です。
このように組織が成熟してくると、採用ではパーソナリティが重要視され始めます。ましてや、職務経験のない新卒採用においては、パーソナリティの重要さが、よりいっそう増すことになります。
[図2]