女性社員を活用するには
経営コンサルタント 佐藤 修一
来春卒業予定の女子学生に、企業が熱い視線を送っています。最近までの“氷河期”とはうって変わり、女性を積極的に採用しようという思いからです。また、女性技術者の活用も注目されています。これは、団塊世代が大量退職する「2007年問題」や少子化から、技術者の人材不足が懸念されていることが背景にあります。いずれも女性が働き続けやすい企業としての職場作りが課題と思われます。
今回は、“女性社員を活用するには”についてお伝えしたいと思います。
なぜ今、女性活用がクローズアップされているか。次のような理由が考えられます。
この他にも生活環境の変化等、社会の変化もあります。
ある調査によると、「あなたの企業では女性社員を有効に活用できていると思いますか」の問いに対し、48.7%が「活用できている」と答えています。一方で、「女性の上司がいる」は19.3%で、「女性の取締役がいる」もわずか10.3%。実際には女性の活用の範囲は限られているのが現状のようです。
「活用できていない」理由では、「もともと女性の採用が少ない」27.1%、「昇進に男女の差別がある」23.8%といった処遇の問題に次いで、「腰掛け的な女性社員が責任ある仕事を避けている」20.4%、「頭の固い男性の上司が活躍を阻害している」17.8%といった意識面での問題が上位になっています。
社会経済活動上、避けては通れない女性雇用について企業としてどう対応するかを考えなければなりません。
女性社員といっても独身女性もいれば家庭を持つ女性もいますが共通する特性は
有能な女性ほど時間を有効利用することを考えているようです。
周りを見渡すと若い頃、大手企業で十分な研修を受けた女性が専業主婦として眠っています。この方達は家庭を持つ女性ですが、少し子供の手が離れれば仕事を選択します。その時の大きな要因は「家から近いこと」です。働く環境を少し整備することにより企業にとって効果的な人材の確保が望めるのではないでしょうか。
さらに、「女性社員を有効に活用するためには何が必要だと思いますか」との問いでは、
男性の回答
女性の回答
となり、意識改革がそれぞれのトップになっています。日本企業で女性の活用が進まないのも、男女お互いに責任を異性側に押し付けているということに大きな原因がありそうです。
ある外資系電機企業は「企業には多様な価値観をもった人材が不可欠。社員の3割は女性でないと」と採用意欲を強くしており、育児のための短時間勤務を認める制度を導入しました。
採用される女性の視点から見ると、上記のように企業が女性社員を大切にする姿勢を見せ始めたことにも勇気づけられています。その上で、自分が何をしたいのかしっかり考えることが大切となります。男女に公平にチャンスが与えられた企業かどうか、同時に結婚や出産などライフステージの変化を支援するシステムが充実しているかどうかをよく見極めたいものです。このことは、やはり企業にとって、働きやすい環境作りが求められていることを示しています。
今後、女性社員が増える中で管理職として“女性を活用できる”ことが急務となります。業務を滞りなくかつ業績に反映するために女性の行動特性、思考特性、心理等をうまく活用できる技量(能力)が求められます。管理職研修等においても「女性リーダー それがあなたの実力ですか」とのテーマが好評で、さらにニーズが増すでしょう。
一般的に女性社員は、甘えや遠慮からか、実力を出し切ってなく、本人も周囲も満足していないことが多いようです。甘えていませんか?遠慮していませんか?諦めていませんか?
女性社員が活き活きと活躍できる企業はますます成長していくことでしょう。