世代交代期に考えること
経営コンサルタント 佐藤 修一
日本経済は好調が続いていると伝えられていますが、実感はあるでしょうか?
内閣府は11月に「いざなぎ景気」を超えて、戦後最長の景気拡大局面になったと宣言しました。しかし、足元では、業種や企業規模の違いによる業績のばらつきが取りざたされており、経営環境は厳しさを増しています。おりしも、この時期、世代交代期にさしかかっている企業は、今後の趨勢を担う分岐点期となるでしょう。今回は、“世代交代期に考えること”についてお伝えしたいと思います。
企業が世代交代期にさしかかった時の選択肢(とれる方法)としては6つあります。
となります。
このうち後継者に承継する場合について考えてみたいと思います。
承継とは、経営資源の会社、財産、経営理念などを引き継いで、企業の究極の目的である「永遠なる継続を実現すること」にあります。承継は後継者選びを円滑におこない育成することができれば、成功したといっても過言ではありません。
後継者を確保するにはまず
が求められます。
必要な資質としては、
が考えられます。
さて、後継者を確保した後には、その育成方法が重要な課題となります。大企業のように経営幹部(取締役以上)の中から候補者になった場合は、経営戦略に添った形の育成が計画的におこなわれやすくなりますが、中小企業、オーナー企業では学卒後自社に入社させる方法と同業種の他企業や金融機関で一定期間勤務した後に入社する方法があります。前者は、早く経営が学べること。長い期間社員と仕事をすることで、社員との共感が生まれることがメリットですが、デメリットは当初から経営者という地位を継ぐことが決まっているので、従業員の立場で勉強する機会が少なくなることです。後者は、他の会社を知ることで大きな視野で物事を見ることが可能になり、独自の人脈が形成されることがメリットですが、デメリットは仕事の価値観が形成される時期に他企業にいることから、経営理念の継承等が謙虚な状態で受け入れにくくなることです。
さらに、人間の能力は、もって生まれた「天性」を、どう「育成」するかで決まります。自分の特性をどう活かせば活躍できるのか、そのシナリオを創造する能力を身につけることが大切です。
教育には、「受身型」の教育と「自主的」な教育の2種類があります。
「受身型教育」は、他の人をまねる、覚えるといったもので、それによって知識を記憶し、理解し、判断力が得られます。また、考え、探求する力は「自主的教育」で育ちます。先人から吸収するのではなく、自ら考え、自分の潜在能力を引き出して独創力を培うことが大切です。他人に左右されずに、納得できる答えを自分で導き出すこと。それが教育の最大の目的と思われます。
視点を変えて、行動・態度から逆にトップマネジメントにあってはならないことをあげると
となり、これを裏返せば求められる行動・態度になると思われます。